そんな葉子に虎一郎、
「はっ…???」
葉子、
「うん。確かに、私は、課長と一緒にいても…。何回か言ってるけど…。…でも、実際、私、好きと言う感情は、ない…から~~。…と、言うか~~。」
葉子、頭を僅かに右と左に傾げて…。そして秀美に顔を向けて、口を真一文字に、
「これからも、ないかも…。」
口を尖らせて、そして、
「輪湖と一緒。三十路だけどね~~。」
瞬間、輪湖、可笑しがった顔で口をグンニャリとさせながら、
「あのねぇ~~。葉子~~。」
葉子、口を真一文字にして、
「…な~~んて、言ったら、輪湖に叱られる~~。」
そして葉子、秀美に、
「うん。秀美ちゃん。どんどん課長の事、好きになって~~。いいよ~~。」
瞬間、秀美、ニッコリと…。
「ほんとですか~~???」
「私の事なんて、ほっときな…。まっ。もしかしたら…、結婚もしないで…、おばあちゃんにでも、なってるかも…知れないんだから~~。」
「スト~~ップ。それ以上言ったら、私、怒るからね~~ヨウちゃ~~ん。水、ぶっかけちゃうぞ~~。」
ムスッとした顔で匡子。
思わず、葉子、
「わっ。ヤバッ。匡子さん、怒らせちゃった~~。」
口をビロンとさせて、
「ごめんなさい。」
頭を下げて。
輪湖はいきなり、
「かかかかか。」
虎一郎、思わず佐武郎に声掛けするように、
「なぁ、サブちゃん。秀美ちゃん、凄ぇな。いきなり課長、好きだって。なんともダイレクトって言うか、ダイナマイト発言だぜ、これって。」
そんな虎一郎に佐武郎、なんとも困ったような笑顔で…。
そして…、その30分後には3人共に匡子の店を出て…。
秀美はしっかりとさっきまでの匡子の店での自分の居場所と同様に、
葉子と輪湖の間に挟まったような配置で…。
但し、秀美の左側は葉子なのだが…。
けれども、何かしら葉子の左腕に秀美、自分の両腕を絡ませながら、
「葉子先輩。ありがとうございます。」
そんな声に葉子、少し困ったような顔で、
「いやいや。そんな…。私にお礼だなんて…。全然、関係ないよ~~。秀美ちゃんが、しっかりと課長、好きになれば、いいだけの話~~。」
その声に秀美、前を向いて笑いながら、
「ははは。は~~い。」
そして…、こちら、匡子の店では…。客は、落ち着いたようだった。
食器を磨きながらの佐武郎に匡子、
「ねぇ~~、サブちゃ~~ん。」
佐武郎の顔を見て、少し残念そうな顔で、
「残念だったね、秀美ちゃん。…まさか…。獏が好きとは…。いきなりビックリ~~。」
そんな匡子に佐武郎、少し泣きそうな顔で…。
…けれども何とか必死に堪えて…。
そして、崩れた顔でもニッコリとしながら顔を左右に振る。
そんな佐武郎を見て、匡子、ゆっくりと目を閉じてニッコリとしながら一度頷く。
そして、こちらは高村家。こちらもひと段落、客入りが落ち着いてきた。
通、カウンターの中の椅子に腰掛けて、
「はい。じゃ、少しブレイクね~~。」
そして愛生に、
「愛生も今の内だよ~~。」
そんな声に愛生も、
「う~~ん。そうだね~~。」
そして通、
「でぇ~~。最近、どうなの…???…路上ライブ…???…上手く行ってんの…???」
愛生はこの1年前からオリジナル曲を引っ提げて人の集まりそうな場所で、
大学以来の音楽仲間の友達と路上ライブを行っていた。
オリジナル曲は、友達が作詞をして、愛生がギターで作曲をすると言うもの。
元々友達がキーボードで作詞と作曲をしていたのだが、
愛生も冗談半分で友達の詩を読んで曲を作って、
それを友達に聞かせたら、友達の反応が…、
「もしかして…、私より才能、あるかも…。」
程よく。その曲を路上ライブで披露したら、聞いていた客から、
「今の、凄い良かった~~。うんうんうん。」
と、意外と好評で、以降、友達と二人三脚でのオリジナル曲を展開しているのだった。
愛生、そんな通に、
「うん。何とかやってる~~。」
通、
「おま…。最近…、自分で曲…、作ってないかぁ~~。なん~~か、これ、聞いたことねぇぞ~~。ってな曲、歌っているような~~。」
その声に愛生、目を真ん丸に、
「うそ。通ちゃんに、分かるの…???…音楽…。」
そして口を尖らせて。
瞬間、通、
「バッキャロ~~。おま。」
こちらも目を真ん丸に、
「な、な~~に、言ってるかな~~。あの、さ。こう見えても、店、一応はサラリとBGM、掛けてんだかんね~~。そんで、下拵えの時は、ラジオでFM聴いてっからね~~。」
その声に愛生、
「あっあ~~~。うんうんうん。確かに。」
通、
「たまには、店ん中で歌ってもいいぞぉ~~。」
瞬間、愛生、
「やだよ。そ…。」
そこまで言って、
「…ん…???」
いきなり嬉しそうな表情をして、
「いいの…???」
「大歓迎、だわさ。かかかか。」
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,162. 「輪湖と一緒。三十路だけどね~~。」
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