虎一郎、思わず頭を撫でながら、
「…いや…。…って言うか…。」
そして、
「え~~~???」
匡子は葉子に、
「ヨウちゃん、ホントに…、獏…。」
獏をチラリと見ながら…。
未だに不貞腐れている獏。今度は、右肘をカウンターに付けての頬杖。
葉子、
「…って言うか~~。抵抗が…、ないんです。…全然。課長と一緒にいても…。全然、普通に会話できるし。…ただ、課長はどう思っている…かは、分かりませんけど…。最初は…。…まぁ…、びっくりはしましたけど…。社食で会って。ここで会って。まさか…、匡子さんの甥っ子さんとは、知る由もなく…。」
匡子も、
「うんうんうん。」
輪湖も輪湖で、
「だよね~~。」
虎一郎、
「まぁ…。うん。」
秀美だけは、黙ったままで…。
そんな秀美を見て輪湖、思わず右目を歪めて、頭の中で、
「…わっと。ヤバ。」
葉子、
「課長と一緒にいても、全然、違和感は…ないんです。」
獏、そんな葉子の声に、頭の中で、
「…い…違和…感。」
すると、いきなり匡子、獏を見て、
「獏はどうなの…???…ヨウちゃん。」
その声にいきなり体を引っ込めるように獏、
「いっ!!!…いきなり、俺に、それ…聞く…???」
瞬間、全員が海江田に視線を…。
そんな面々の顔を見て獏、いきなり今度は体を右側に。そして、
「おぃおぃ。なんだよ。みんなで~~。」
匡子、
「事と次第によっちゃ~~。深刻なんですけど…。」
その声に、
「いやいやいや。深…刻…って、言う…???」
すると匡子、獏を見つめて…。そしてコロリと笑顔になって、
「な~~んてね。やな訳ないよね~~。こんな奇麗な女性から、いいかも。な~~んて言われりゃあ~~。」
その時、葉子、
「あっ。匡子さん。ごめんなさい。輪湖が今、夫婦みたいって言いましたけど…。でも…、私、課長に好きって言う感情、ないんです。」
その瞬間、匡子、
「えっ???」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔で…。
輪湖も虎一郎も、
「へっ…???」
「はっ…???」
秀美はキョトンと…。
獏は獏で、何とも分かりづらそうな顔で…。
葉子、
「もし…、仮に~~。課長といても、全く違和感なく、一緒にはいられる…。それは出来ます。…けど…。好きとかと言う…、感情って…。ありません。」
淡々と話す葉子に匡子、困ったような顔で笑いながら、
「あ…、は、は、ははは。」
けれども、
「まっ。うん。うんうんうん。確かに。…だよね~~。」
輪湖もそんな匡子に便乗して、
「あ、まぁ…。うんうんうん。」
そして虎一郎を見て、
「だよね~~。うんうんうん。」
鬼のような顔で虎一郎の右太ももを左手で思いっきり抓る。
瞬間、虎一郎、
「痛~~って。」
そのまま鬼のような顔で輪湖。虎一郎、痛いのを我慢するような顔で…。
けれども輪湖には何も言えずに。頭の中で、
「…痛いっつぅの~~。」
獏は獏で、そんな葉子を見て、ポカ~~ンと。そして、
「だよね~~~。」
葉子、また続ける。
「でも、一緒にいたい。…と言うのは、本当です。」
その声に匡子、少し頭をカクンと。
「あれ…???」
輪湖、
「葉子~~。」
虎一郎、
「かかかか。…どっち…???」
「いいんじゃないですか~~。」
いきなり秀美。その声に今度は葉子を除いて、秀美に注目。
輪湖、
「ひ…、秀美ちゃん…???」
秀美、顔をコクリとさせて、
「うん。葉子先輩、海江田課長と、お似合いだと、私は思います。」
瞬間、輪湖、頭の中で、
「…わっと~~。言っちゃった~~。」
秀美、
「でも…、まぁ…、葉子先輩が、海江田課長の事を…、好きに、ならない限りは…。私には、分かりませんけど…。」
その声に匡子、頭の中で、
「…この子、凄い事を平気で言うわ~~。」
輪湖も、頭の中で、
「…えぐっ。」
虎一郎、可笑しがりながら、
「キッツイわぁ~~。その言葉。かかかか。」
いきなり輪湖の左手が虎一郎の頭をペン。
虎一郎、輪湖に、
「だから、痛いって。」
輪湖、
「うるさいよ。」
匡子、
「まっ。…でも、ヨウちゃんが、獏と一緒にいてもOKと言うのなら、OKでしょう~~。まっ、好きとかいうのは…ねぇ~~。これから…。」
葉子、
「でも…。私って…。こんな…ですけど…。生まれつき、笑うと言うか、楽しいと言うか、嬉しいと…言うのも…。哀しいと言う感情も…。感じないので…。周りの人からは…、あんまり…。」
瞬間、匡子、
「な~~に言ってる~~。今のまんまのヨウちゃんでいいよ。私は、そんなヨウちゃんが好きだから。」
すぐさま輪湖、右手を上げて、
「私も~~~。」
虎一郎は、
「かかかかか。」
輪湖、いきなり虎一郎の右手を自分の左手で、
「あんたもだよ。」
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,159. 虎一郎、思わず頭を撫でながら、「…いや…。…って言うか…。」
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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。