そして…。
その日の内に千葉にあるベンチャー企業のオフィスに警視庁第二課の刑事数名が…。
そして女性1名が任意同行として…。ただ、その女性が、上沼美和子か、光浦花純なのかは…。
女性は黙秘を続け…。
けれども、その夜に。神奈川県川崎市のアパートでまた、ひとりの女性が任意同行。
そして…。
その2日後に、
「横浜トランキルマンヘブンズホテルのホテルキャッスルチャイナによるM&Aが全面白紙。」
と言うニュースが、テレビでも雑誌でも新聞でも、そしてSNSでも…。
そして横浜トランキルマンヘブンズホテルの総務部ではテレビやSNSで、そのニュースを知り、
社員全員が驚愕。
そして、遂には愕然。社員それぞれの口から、
「まさか…、光浦総務部長…。これって…、そっくりじゃん。」
そして、取締役の北も、スマホのSNSで、
「なんてこったぃ。」
同じく、川峯も、
「まさか…、光浦さんが…。信じられないけど…。」
そして…、3日前には扶桑の日比谷からラインにメールを貰っていたこちらの男性。
添川晶、出掛け先の途中、大型ビジョンからそのニュースを見て、
「おっと。…遂に来たか~~~。いやいやいや。まさかね~~。光浦さ~~ん。」
傍にいる営業社員の大鳥誠司(おおとりせいじ)、
「まさか、光浦総務部長がね~~。」
そして添川、自分のスマホを見て、
「添川部長、ありがとうございました。あなたからの情報がなかったら、ここまでは…。…感謝しております。このお礼は、いずれ、きっと。」
添川、
「日比谷汐里、システム企画部長…。…そして、元警視庁の刑事。」
そしてポツリと、
「凄ぇ~や。こんな人と友達になっちゃった。はは。」
隣で大鳥、
「…って事は…。光浦総務部長…、もしかして…、懲戒解雇…???」
そんな大鳥に添川、口を捻じ曲げて、
「やむを得ない…、だろうね~~。警察沙汰に…なっちまったもんな~~。」
そして、歩きながら、
「大先輩だったんだけどな~~。」
一方、関東を離れて、こちら、関西のビルの一室。
兵庫県、神戸市にある百貨店扶桑、関西支社、コンプライアンス部、
大貫弥十(おおぬきやそ)の机の電話が鳴る。
「もしもし。コンプライアンス部、大貫でございます。お疲れ様でございます。」
すると、すぐに外線に変わり、
「もしもし、大貫さん、お久しぶり~~。廿楽です~~。」
その声に大貫と呼ばれた男性。いきなり椅子から立ち上がり、
「社長—――――っ!!!…お、お~~疲れ様でございます。」
そして何度も受話器を持って頭を下げて、
「申し訳ございません。ご無沙汰しております。」
電話の向こう、
「どお…???…元気…???」
「あ~~。はい。体の続く限り、元気でやらせて頂いております。」
その声にクスリと笑う廿楽。
「ふふ。…あのね。ちょっと、折り入ってお願いがあるんだけど…。」
その声に大貫、
「あっ。はい。なんでありましょうか~~。」
受話器から聞こえる廿楽の声、
「美知佳(みちか)いるぅ~~~???」
思わず大貫、傍の机を見て、
「あ~~~っと、今、席を外しておりまして~~。申し訳ない。」
「そっか~~~。実はね~~。」
ドアが開く。
「お疲れ様で~~す。戻りました~~。」
女性の声。
大貫、
「あ~~~っと。」
受話器に、
「すすす、すみません。今、戻りました。はい。はいはいはい。変わりますんで。はい。」
いきなりの上司の動揺振りに女性、いきなり目を真ん丸に、
「いっ???…えっ…???はっ…???…何…???」
大貫、頭を下げて、
「いやいやいやいや。いいから、いいから…、電話、出なさい。」
そして、大貫、
「5番。5番。5番。」
女性、その声に、慌てて、
「あ~~。はい。はい。」
そして自分の机の電話、受話器を持って、
「もしもし、お電話代わりました~~。松樹(まつき)ですけど~。」
その声に廿楽、
「お疲れ、美知佳~~。元気~~???」
思わず眉を歪ませる女性、そしてすぐさま目を見開いて、
「社長—――――――っ!!!お~~久しぶりで~~す。」
廿楽、元気な声を聞いて、
「はは。元気で安心した~~。」
「どうしたんですか~~???…いやいやいやいや。び~~っくり~~。えっ…???あ…、いや…。でも…。どうして、廿楽社長から私…に…???」
「ん~~???…まぁ…。その辺は…、おぃおぃ。…でね。実は、折り入って…。」
M&Aが全面白紙のニュースが出て以来、百貨店扶桑内の社員たちは安堵と歓喜。
そしてこちら、横浜トランキルマンヘブンズホテル社長室。
尚登、杏樹に、
「杏樹さん、お疲れ様。ようやっとですね~~。」
握手を求める。
その手を握っての杏樹、
「ありがとうございます。…でも…、一番は…。」
そして、美琴を見て。
美琴も、コクリと頷き、
「えぇ。」
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,154. 「…感謝しております。このお礼は、いずれ、きっと。」
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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。