「う〜〜ん。」
通、いきなり顔を小刻みに左右に揺らし、
「俺の知り合いにも弁護士いるけどさ、どうしたって、仕事以外のトコに顔出す時ってあるじゃない。」
3人頷いて、
「うん、うん。」
「そういう時は〜〜、バッジは外すか襟の裏に付け直すか、ま、いろいろと…。…な〜〜んて言ってる〜〜訳さ。」
その話しを聞いて紫、頷きながら、
「へぇ〜〜〜。そぅなんだ〜〜〜。」
通、また腕組みをして、
「…って言うかさ〜〜。見た感じ…」
そして通、ちらりとタブレットのその顔を見て、
「かな~りのキャリア組って印象…。話し方にしてもさ…。ん~~。今思えば、確かに…弁護士相応。…けど…???…なんで…???…あんな…???…とにかく、めちゃくちゃ投資の話しに詳しいような〜〜。」
ビールをグィッと蔵井氏、
「へぇ〜〜。」
「俺にだって投資の話し、持ち掛けてきたくらいだから…。」
3人を見て。
「うっそ〜〜〜〜〜!!!」
いきなり陣屋。
その声に通、
「いやいや、嘘じゃなくってホント。…あん時は…、ん~~。」
右目を僅かに歪めて…。
「確…か…。あぁ、そぅ。思い出した。二子玉に、ある物件があってね、家主が故郷に引っ越すってんで、空き家になっちゃう。…で…、その、宮越…???…そん時は投資家だか弁護士か分かんなかったさ。」
陣屋も紫も、蔵井氏も、
「うん。」
「その人が俺様にこぅ言ってきたよ。シェフ、その物件に投資しない…???…3000万でいいよ。僕が7000万、出すから、その物件、居酒屋にしない???…店をやりたいからって人から頼まれちゃって…。って言うんだよ。」
蔵井氏、
「おやおや。」
陣屋、
「へぇ~~~。…で…???…誰なの…、その…、店をやりたい人って…???」
紫はキョトンとした顔で、
「ふん。」
通、今度は得意気に、
「聞いて驚け〜〜〜。その頃、引退した大日アニマルズの川窪(かわくぼ)捕手。」
途端に3人、
「うっそ――――――っ!!!」
陣屋、
「あ、あの、キャッチャーで意外性のバッターで…。…めちゃくちゃ人気だったじゃ〜〜ん。」
蔵井氏、
「いやいやいや。なんと、なんと。あの、大日アニマルズの川窪捕手…???こりゃまた、たまげたね~~。」
紫、
「あっ。けど…。現役引退してから、プロ野球の解説者になったじゃん。」
その声に通、
「はい。正解~~ぃ。…なんだ…、けど~~。…実際、あんまり解説の仕事、向いてなかったようで…。何々、店をやるまでの、準備期間だって話~~。」
「へっ…???…んじゃ~~。その投資の話って…???」
陣屋、口を尖らせて通に…。
「んなもん。」
口を捻じ曲げての通、
「俺様を見くびってもらっちゃ~~、困る。確かにさ。居酒屋もいいわさ。…けどな。投資のトの字も知らないとうしろに、そんな話、持ち掛けられて、はい分かりましたで、3000万、出す訳ゃねぇだろ。しかもこっちは、大事な子を預かってんだぃ。」
瞬間、陣屋、
「おほ~~。聞いた~~、愛生ちゃ~~ん。」
ひょっとこの様な顔をして陣屋。
蔵井氏、
「かっかかかか。愛生ちゃん、愛されてますね~~。」
思わず愛生、どや顔。
通、
「まっ。そんなこったでね。」
一拍置いて、
「けど、その居酒屋さんは、その投資のお蔭で、今や繁盛しまくってるっつぅ~~話。」
そしてまた一泊置いて、
「まっ。世の中、いろいろあるわ~~ねぇ。」
そしてまた通、タブレットを見て、
「弁護士ねぇ~~。」
その時、紫、
「あっ。そうだ。いっけな~~い。」
その声に蔵井氏も陣屋も、紫を見て、
「えっ…???」
通も紫を見て、
「ふん…???」
愛生は顔を傾げて…。
紫、
「肝心な事~~。」
陣屋、紫を見て、
「肝心な事~~???」
紫、陣屋に、
「部長、部長、その人、宮越弁護士。」
「うん。その…、川峯取締役をホテルに紹介してくれた…???」
紫、顔をコクリ、コクリと、
「その人、ホテルの顧問弁護士~~。しかも、しかもよ。」
今度は蔵井氏に、
「扶桑の顧問弁護士なの~~~。」
瞬間、陣屋も蔵井氏も、
「え―――――――っ!!!」
蔵井氏、いきなり慌てて、
「いやいやいやいや。なんと、なんと。」
通、
「おっとっとっと。こりゃこりゃ。どういう展開…???」
陣屋、いきなり両眉を般若に、
「ん~~~???」
すかさず陣屋、バッグからスマホを。そして指でトン。
スマホのデジタル表示は21:30。
3回のコールで相手が出る。
「…もしもし。美海ですけど…。陣屋さん…???」
陣屋、スマホに、
「あっ。お休みのところごめんなさい。陣屋です。ちょっと聞きたい事、あるんだけど…。確認だけど…。」
スマホ越しに美海、
「えぇ。はい。」
「扶桑のさ。顧問弁護士って、誰なの…???」
その声に美海、
「顧問弁護士…???…宮越弁護士だけど…。でもそれは…既に…。」
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,092. 「投資の話し…。」
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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。