そして…。お風呂から上がって葉子、リビングに…。
由佳理はまたパソコンでデザインを…。
稜平は缶ビールを…。キッチンの椅子に座ったままで…。
由佳理、
「ほんと、大丈夫なの~~???…1時間近くもお風呂に入って寝てたと思うけど…。」
その声に葉子、目を丸く、
「1時間っ!!!わお。」
稜平、
「おやおやおや。良くぞまぁ、顔がお湯に浸からなかったもんだ。そっちの方が俺は心配だけど…。」
いきなり由佳理、後ろを振り向いて、稜平に、
「ねぇ~~~。」
そして、
「私も仕事してたから、爽太から聞いてもぅ~~び~~っくり~~。」
稜平、
「かかか。爽太に、お礼、言わなきゃ、葉子~~。」
そんな父の声に葉子、口をへの字にして、
「ム~~。」
そんな葉子を見て稜平、
「かかかかか。何、その顔、まるでヒョットコだぞ…。」
ビールを一口。
「けど…。おまえにしちゃ、珍しいなぁ。お風呂でそんなに…???…仕事で、何かあったか…???」
父の声に葉子、
「うん。まぁね…。」
葉子、父の向かいに座って、そして父の持っている缶ビールを取って、一口。
「ふぅ~~。」
稜平、
「もしか…、して…。例の…M&A…???」
葉子、両眉を上下に。
稜平、口を開けて、
「おっとっとっと~~。ビンゴ~~。…けど…、今のところ…、それと言っての収穫無し…。って、とこか~~???…まっ。資産5兆円。かかか。そんなん掛かったら、ひとたまりもない。飲み込まれておしまいだ。聞くところによると、何…、ホテルキャッスルチャイナ。いろんなところ、買収しているそうな…。しかも、有名どころオンリー。」
葉子、
「ふん。」
由佳理も手を止めて、後ろに顔を…。
「…で…???…今、どんな感じになってるの…???…ホテルのオーナーは扶桑の社長が所有って、この前、聞いたけど…。」
その声に葉子、
「ん~~。そこなんだよね~~。今の時代、M&Aって、確かに、戦略のひとつ…、でも、あるんだけど…。乗っ取りみたいな…。しかも…、巨大な大金が動くって…。…で、とどのつまりは、ホテル側の株を搔き集める事になるじゃない…。金に物を言わせるって言っても…。」
そして葉子、
「とにかく、まだ…、どっから、そういう話が持ちあがった。かが、手探り状態。全く分かんない。対策室も、立ち上がったんだけどね~~。これと言った、一手がまだ…。」
稜平、そんな葉子の話に、腕組みしながら、
「そっか~~。対策室ね~~。…って事は、まさか、おまえ…、そのメンバーに…???」
首からタオルを巻きながら葉子、
「ふん。社長からの、御指名って…。まっ、本当かどうかは…???」
「大変だな、そりゃ。」
そして笑いながら稜平、
「…で、ついつい考え込んで、お風呂で…???…かかかか。……。そっか~~。じゃ、父さんも、その辺、少し、調べてみるか。」
途端に葉子、目を真ん丸に、
「うわっ!!!とうさんの人脈、嬉しい~~。」
その声に稜平、
「かかかか。」
そして笑顔で両眉を上に、
「まね。」
由佳理もニッコリと、
「ふふ。良かったね~~。」
そして腕時計を見て、
「おっと~~。おっ風呂、おっ風呂~~。」
稜平、
「どうぞ~~~。」
そして、前回同様に、海江田から鳩崎に。
そして、葉子からは紫、蔵井氏、陣屋に。
ただ、信用問題で、一度は躊躇はされたが、「今はそんな事を言っていられない。」と、言う、
鳩崎も陣屋も同じ判断。すぐさま社長秘書の東風に、その提案が…。
すると…、社長の廿楽の鶴の一声、
「私は、一任すると言ったはず。」
美海、
「畏まりました。」
そしてその声に鶴来美琴も、
「致し方…、なし。天春には逆らえない。すぐに動いて頂戴。」
杏樹、
「承知しました。手配します。」
そして…。出て来た情報は…。
横浜トランキルマンヘブンズホテルの全社員の過去のデータより…。
その中で、僅かに3名、ある事実が判明。
常務取締役の阿刀田尚登、この人物、現在は日本人…、では、あるのだが…。
出生地は中国、北京。つまりは、日本人男性として帰化している。
そして…、阿刀田始め、取締役の1名も阿刀田同様、出生地は中国。
こちらも阿刀田同様、北京出身。
そして、もうひとりの取締役は、日本人、ではあるが…、
かつては香港マカオで絶大なるホテル経営に身を投じてはいたが、投資で失敗。
けれども、その経営手腕を買われて日本のある投資家から紹介されての、
トランキルマンヘブンズホテルに招かれた人物である。
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,080. 「何、その顔、まるでヒョットコだぞ…。」
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庄司紗千「海をこえて」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。