娘が空手に行き始めたのは、弟が空手を始めたからである。
私は息子が生まれた時から、空手か柔道か合気道といった、日本の武道を習わせたいと思っていた。
ある時、空手教室を見つけ息子が4歳の時にお試しに連れていったが、まだ小さいから来年にもう一度連れてきてくれませんか?と先生に言われ、五歳の誕生日を待ち入学した。

夫から、どうせ娘も見学で連れていくならやらせたら?と言われ、娘も始めることになり今に至る。
娘は当時から、友達に空手を習っている事を絶対に言わないで欲しいと私に懇願してきた。
だから練習後、胴着を着たままスーパーに行くことも嫌がる。
それでも空手は好きだと言い、休むこと無く練習だけは絶対に行く。

そんな2ヶ月前の事。
新しく6歳の男の子が空手に入ってきた。
その男の子を連れてくるお母さんと共に、男の子の姉が着いてくる。
娘と同じハイスクールで、学年は一つ上である。
一つ上と聞いて私は驚いた。
何故なら、まだ12歳か13歳なのに濃いファンデーション、ツケマツゲ、真っ赤な口紅と安物の香水をつけて来るからである。
ハイスクールでは17歳まで化粧して学校に行けない厳しい決まりがある。
が、学校でもあのメイクのまま来ているらさいから、厳しい学校と聞いた割に、化粧はスルーされているようである。

しかし、母親と来ても携帯を見ているか、頻繁にかかってくる電話をとる度道場からでで行くし、じーっと弟の空手を見ている事は無いが、娘は嫌がった。
「絶対に自分が空手をやっている事をバラされる」と嫌がった。
その子が来ると娘はうつむき空手をする。
私はその度、娘に「恥ずかしい事なんか何もしてない。堂々と顔を上げなさい」と言ってきた。

昨日、娘を迎えに行き車に乗り込むなり娘は半泣きで私に言った。
「一つ上の話したこともない女子から、空手やってんやろ?と言われたから、何もい言えずに立ち去った。だから嫌やってん、あの男の子の姉が来た時から、こんな日が来るの分かってたわ!」と、今にも泣きそうになり言った。
娘にとって、空手をやっていることを同世代の生徒に知られることは、辱しめを受けるように恥ずかしい事なんだと思う。
年頃の女の子なら、そう思うのも無理はない。

私は「よく分かるよ、その気持ち。空手が嫌なんじゃなくて、やっていることを冷やかされたりするんじゃないかと、それが心配なんやろ?」と聞くと頷いた。
私はバレエをやっていた。
それを知った男子がふざけてバレエを真似たアホダンスを踊って見せてくる事もあった。
それをアホや…とスルーできる子もいれば、冷やかしと捉え不快な気持ちになる子もいる。
まして空手は映画でヒットした事もあり、冷やかしの対象にされやすかったと、夫も子供の頃の事を言う。

私は娘に「黙って立ち去ったらアカン。次回もし聞かれたら、『そうやけど何?習いたいの?お父さんが空手の子供クラスで教えてるから小さいときからやらされてんねん、それが何か?』と言いなさい。黙って立ち去ったらまた来るかも知らん」と話した。
また、「分からんで、何でそんなこと聞いてきたのか。もしかしたら他の空手スクールでやってて、何処で習ってんの?と聞きたかっただけかもしらんやん。もしかしたら何色の帯なん?と聞きたかっただけかもしらん。もしかしたらオチョクリに来ただけかもしらん。だとしても空手?やってるよ何か?て聞いて、相手がなんて言うのか立ち去ったら分からんままやん。次回は相手の目を見据え絶対にそらさず、今言うた通りに言いなさい。最初に引いたら負けやで」と伝えた。
娘は「分かった」と言った。

私は娘に「あんたを誇りに思う。空手は痛くて苦しい練習も多い。それなのに休まず行ってくれて凄いと思う。それに、わずか12、13歳で巻き髪して化粧して爪伸ばしてネイルして香水付けて学校行く娘や無くて良かった。あんな化粧して学校行ってる子より、空手やってるあんたの方がよほど格好エエ」と言った。

また空手がらみで嫌な事があるかもしれない。
立ち向かうのは娘である。
私は励ますのみ。
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Source: イギリス毒舌日記