葉子、
「追々、教えてあげる。」
秀美、笑顔で、
「はい。」
思わず虎一郎、ニッコリと。
その顔を見て輪湖、
「何、その緩んだ顔…???」
虎一郎、
「えっ…???あっ、いや。」
葉子、
「あっ。」
そして秀美を見て、
「鮎川さん、一言言っておくけど…。この佐賀美虎一郎には、絶対に近づかないで。」
その声に秀美、思わず葉子を見て、そして目をパチクリとさせて、
「えっ…???えぇぇぇぇ…???」
そんな葉子と女性を見て、葉子に虎一郎、
「はぁ〜〜あ〜〜???」
輪湖はのほほん的な表情で、
「まっ。いずれ、分かる事だけどね〜〜。」
虎一郎、輪湖と葉子を見て、
「そりゃ〜〜ねぇだろう〜〜。初めて会った人間にさ〜〜。」
「さ〜〜てと、午後の仕事〜〜。」
葉子。そして、両手を合わせて、
「ご馳走様でした。」
秀美も真似をして、
「ご馳走様でした。」
輪湖、秀美に、
「おかあさんの味ね〜〜。おふくろの味ってトコ…???…かかかか、私は、お弁当、作った事、ないから。」
そんな輪湖に微笑んで秀美、そして葉子を見て、
「でも、選さん、凄い〜〜。自分でお弁当作るなんて〜〜。」
その声に葉子、
「でも、今までは私もおかあさんに作ってもらってたんだけどね…。ある切っ掛けで、作ってみようかって…。そしたら、出来たから続けたくなっちゃって…。」
輪湖、入り口の方を見て、
「結~っ局、尚子さん…。来なかったね~~。」
葉子、
「ふん。まっ、いっか~~。」
虎一郎、
「弁当ね~~。高校以来…、ないなぁ~~。」
輪湖、
「あっ、コイチ~~。海江田課長って、お昼…。」
その声に虎一郎、
「あ~~。ん~~。外で、食べてんじゃないのぉ~~。それこそ、匡子さんトコ。」
輪湖、大きく頷いて、
「あ~~ん。なるほど~~。」
そして、
「さて。行きますか。」
午後からの仕事…、その開始の僅か30秒でギリギリセーフの尚子。
席に就くなり、
「セーフ。ヤバヤバ。」
そんな尚子を見て秀美、ニッコリと、
「お疲れ様です。」
逆に尚子、新人の秀美からの声に、
「あっ。かかかかかか。うん。お疲れ様~~。お昼、終わった…???」
「はい。選さんと館城さんと一緒に。あっ、あともうひとり。」
尚子、
「うん…???もうひ…。あ~~。うんうんうん。コイチねぇ~~。」
すると秀美、顔を傾げて、
「コイチ…???あっ、さっき、館城さんも言ってたけど…。」
葉子、そんな秀美に、
「あ~~それ。さっきの彼。名前が虎一郎だから、頭のコイチを取って呼んでるだけ。」
秀美、
「こいちろう…。あっ、そっか、最初のこいちの3文字。」
葉子と尚子の両方を見ながらの秀美。
尚子も葉子も、
「うんうん。」
尚子、
「まぁ~~。彼の場合、所属は営業推進部なんだけど…、なんだかんだ、ヨウちゃんと輪湖の同期だから、ふたりに駆け寄ってくんのよ~~。今じゃ、たったの3人の同期だからねぇ~~。ここにもしょっちゅうよ~~。」
その話に秀美、
「へぇ~~。そうなんですか~~。」
「まっ。しょっちゅうここに来たとしても、みんな、何も言わないけどね~~。」
秀美、
「へっ…???」
「つまりは…、彼の場合、あっちこっちで、油を売っているようでいても、成績優秀。とにかく仕事が出来る。その、ヨウちゃんみたいにね~~。」
尚子、ニッコリと。
その話に秀美、いきなり葉子を見て、
「えっ…???そうなんですか…???凄い、知らなかった~~。」
そして葉子に頭をペコリと、
「ありがとうございます。」
そんな秀美にいきなり葉子、
「いえいえ。私なんて…、そんな…。しかも、私も輪湖も、今の財務企画では一番の年下だから…。」
尚子、
「まぁ…、ねぇ~~。」
そして、
「はい、お喋りはこのくらいに~~。…でないと、蔵さんに睨まれる~~。」
秀美、その声に、
「課長…。蔵井氏…、学さん。なんだか、歌舞伎役者みたいなお顔立ち、ですよね~~。なんともキリリ、と、してるわ~~。」
その瞬間、尚子、
「ぷっ。」
そして葉子は、目を丸く、そして口をおちょぼ口にして…。
尚子、秀美の肩に右手を。
「そ、それ…。課長の前で言ってあげて。ご褒美もらえるかも~~。」
秀美、
「えっ…???ほんとですか~~???」
「うんうんうん。ほらほら、それこそ、歌舞伎の片岡愛之助に似ているなんて言ったら、物凄い喜ぶから。ねぇ~~。ヨウちゃん。」
葉子、
「そのようで…。」
秀美、僅かに空を見て、
「うんうんうん。確かに、似てるかも~~。」
「でしょう~~。はは。」
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,046. 葉子、「追々、教えてあげる。」
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