「…って言うか、今、紫、結構シビアな状態なんだよね~~。そこに…、なんでそういう…。私は何かの間違いだって…、思ってるんだけど…、紫に限って…。」
励子。
輪湖、
「そっか~~。」
腕組みをして、
「主任の、そういうとこ、見られちゃったってね~~。…で、やばいとこ見たって…。」
励子、そんな輪湖に、口を尖らせて顎を上下に…。
葉子、
「ふ~~ん。でも、主任見ると、そんな風には全然、見えないんだけどな~~。」
励子もその声に、2、3度、頷いて、
「うんうん。…でもね~~。紫と私の同期、トライアングルの広報推進部、そしてシステム企画部、常にアンテナ張り巡らせている人、多いんだよな~~。しょっちゅう、食事してるもんな~~。まっ、長谷部部長にしても、日比谷部長にしても、ちょっとヤバイ事があったら、情報網、凄いから…。」
そして励子、
「でも…、今回の事が、一番の心臓部、広報からだからね~~。実和子(みわこ)が見ちゃったらしいだよね~~。」
尚子、
「実和子さんって言うと…、広報の主任。藍川実和子(あいかわみわこ)さん。」
励子、口をへの字にして、
「そっ。」
その時輪湖、
「あっ。」
励子、
「うん…???どしたの…、輪湖…???」
輪湖、すかさず葉子の顔を見て。
葉子、そんな輪湖を見て口を尖らせて、僅かに顎をクイッと。
輪湖、
「あ、あの…、励子さん。」
少し畏まった感じで、
「そ、その…、さっき…、主任…、結構…、シビアな状態って…。」
その声に尚子も、
「あっ。」
瞬間、励子、目をパチクリと…。そして…、俄かに顔を傾げて、
「…ん…???…私、そんな事言った…???」
輪湖に…。
すかさず輪湖と尚子、
「え~~~ぇえ…???」
葉子は少し微笑んでいるような…、口は真一文字に…。
尚子、励子に、
「ま~~た、またまたまたまた~~。」
そんな尚子に励子、
「えっ…???え~~ぇえ…???」
輪湖、尚子を見て、
「励子さん…。この人の前では…、嘘は…、禁物~~。」
その声に励子、思わず顔をクシャリとさせて、そして口を捩じりながら、
「ふん。情報屋尚ちゃん。ねぇ~~。」
葉子と輪湖、そして尚子が、今度はガッシリと励子の顔を…。
その3人に、逆に引き返せなくなった励子、
「ふ~~ん。まっ。財務企画の中では、結構、口が堅い葉子と輪湖だから…。」
そして尚子を見て、
「尚子~~。」
尚子、そんな励子に敬礼をして、
「合点。」
励子、傍にいる3人にそれでも手招きして、耳打ち、
「………。」
3人、励子の話を聞きながら…。葉子は口を噤んで。
輪湖は何かしら両眉の先端を吊り上げながら…。
尚子は左手人差し指の指先を唇に…。
励子、全部話し終えて…。
葉子は口を尖らせて2、3度、頷くが…。
輪湖と尚子は…、
「へぇ~~~。そういう…事が~~。」
余り、関心なさそうに…。
励子、そんな3人の反応を見て、
「ふ~~ん。なるほど…。まっ、そだよね~~。3人にすれば、それほど…頭を捻じ曲げるような…。…でも、これって…、万が一、表沙汰になったら…、どうなると思う…???」
その話に輪湖と尚子、
「えっ…???…どうなるんですか…???」
「扶桑、大打撃…。」
瞬間、輪湖も尚子も、
「え――――――っ!!!」
励子、いきなり口を真横に、
「声がおっきいっ!!!…だから、今、何とか、水面下で…。時間を掛けて…。…って、昨夜、紫から…、電話があってさ。悩んでるって。部長には話したんだけど…。でも…って。…だから良い…???トップシークレット。」
そこまで言って励子、
「さて、仕事、仕事。もぅ時間だよ。」
その声に輪湖と尚子、
「は~~い。」
自分たちの席に戻りながら輪湖、
「ふ~~~ん。水面下で…、そういう事に~~。…だから朝、部長も課長も、主任も~~。…でも、何で…???…直接、ウチ、扶桑に関係あるのかな~~。」
ひとりでブツブツと…。
そんな輪湖に葉子、
「関係ある…、以上に、確かに励子さんの言う通り、大打撃ねぇ~~。」
輪湖、席に就いて、
「えっ…???…葉子~~、なんで…???」
そんな輪湖に葉子、
「…それは…、コレ。」
自分の唇に人差し指を縦に。
輪湖、それを見て、
「あ~~。うんうん。」
そして、
「さて。やりますか~~。」
財務企画に入って来た陣屋、葉子の右肩をトンと叩いて、
「明後日から、お願いね。」
その声に葉子、顔を後ろに、
「あっ。は~~い。」
陣屋、輪湖の顔にも、
「輪湖~~。」
輪湖、
「は~~い。了解で~~す。」
そして、少し間を置いて、
「こっちは、こっちで、新人の教育係か~~。」
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,040. 「何かの間違いだって…、紫に限って…。」
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庄司紗千「海をこえて」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。