スマホの向こう…、
「…あ、あの…。部長…、何か、言いました…???」
その声に鳩崎、
「…あっ。いや…。いや…。いや…。」
そして、
「ふ~~~ん。泰。」
「あっ、はい。」
「その件…、くれぐれも。いぃか。時間、掛けろ。慌てんじゃねぇぞ。拗らせんなよ。」
その声にスマホの向こう、
「あっ。はい。分かり…ました。失礼します。」
鳩崎、通話を切ってスマホをポケットに。そしてさりげなく後ろを向いて…。
顔をダラリと、
「まだやってるよ。」
そして今度は前を向いて、
「はいはい。若いモンには、負けますよ。」
そして歩きながら、
「…って、一体…、どういうこったい…???」
ベッドの中で由佳理、稜平に…。
「ねぇ~~。」
「ん~~???」
「葉子~~。」
その声に稜平、
「ん~~~。爽太が…、24で…、彼女…。かぁ~~。葉子…、30~~。」
由佳理、
「それに…。」
稜平の顔を見て、
「あの子の場合、全然、感情…、顔に出さないから~~。…仕事は…、匡子さんから聞いて、うん。財務企画では欠かせない存在って…。…でも、仕事と…、その…。」
「恋愛は…、違う。」
そして稜平、一拍置いて、
「さ~~てね~~。笑いもしない。怒りもしない。楽しいんだか、哀しいんだか…、そういう…、表情すら…、しない。親の、俺たちからすると、物凄い、可愛くって、奇麗なんだけどな~~。」
その声に由佳理、
「まっ。可愛いって言うのは…、今の年齢じゃ、違うかしらね~~。」
稜平、由佳理の顔に自分の顔を傾けて、
「えっ…???いや。なんで…???…俺はまだ葉子、可愛いと思ってるけど…。毎日、抱き締めてあげたいって…、思ってるけど…???」
由佳理、顔を傾げて、ニッコリと、
「はいはい。まま、それは、それで…。くく。」
稜平、
「な~~んだよ~~。俺が、葉子を可愛いって言うの、可笑しい…???」
そんな夫に由佳理、笑いながら、
「いやいやいや。そんな事はございません。旦那様。くく。」
そしてブランケットを頭まで、稜平の右肩に頭を付けて、
「おやすみ~~。」
翌朝、いつもなら時間より僅かに早く部長室から出てくる陣屋と蔵井氏。
…が、時間の5分を過ぎても…。
しかも、いつも社員の一番前にいる…はずの、
財務企画部主任の鈴村紫(すずむらむらさき)の姿もない。
社員がざわつく中、ようやく部長室から出てきた3人。
社員、それぞれがそれぞれの顔を見合わせてひそひそと…。
鈴村が自分の席に。そしてミーティングが始まった。
そして、特に問題もなしにミーティングは終了し、いつもと変わらずの仕事に…。
厚、輪湖に、
「なんか…、あったんすかね…???」
その声に輪湖、顔を傾げて、
「いんや~~。全然、見当も付かないけど…。葉子~~。」
目の前の葉子、既に机の前で書類とトントンと、
「ん~~。全然~~。…けど…、主任が何かしら…、関わっている事は…、確か。」
「おっと~~。さすがはヨウちゃん。ムフフフフ。」
尚子。
「…では、アンテナ…、張らせていただきますか~~???」
その声に葉子、
「ふ~~ん。でも…、あんまり、本丸には、近づかない方が…、良い事も…、あるかもよ~~。」
尚子、その声に、目をパチクリと、
「あららら。何とも…、慎重肌~~。」
「時には、そういう事も…。」
そして葉子、顔は歪めずに、口だけ、一文字に…。
そして、それは営業推進部でも…。
何かしら、厳つい表情を隠せない鳩崎と海江田。
そして、営業推推進部主任の都沢泰明(みやこざわやすあき)。
虎一郎、頭の中で、
「…何々…、何かあったのか、いつもと全然空気、違うけど…。何か、大事…???」
そしてこちらもミーティング終了。
何事もなかったように、海江田、
「…では、今日もよろしく。」
虎一郎、片目を歪めて、頭の中で、
「…なんなんだよ。」
鳩崎、海江田の右肩に右手を。そしてさりげなく、
「就任早々、スマンな。ただ、この件は、慎重に事を進めないと…。」
海江田、その声に、表情を変えずに、
「はい、分かりました。」
コーヒーブースで、輪湖と尚子、いきなり、
「うっそ―――――――っ!!!」
葉子は口を尖らせて、目をパチクリと。そして、
「わお。」
尚子、
「いやいやいや。まだ私のトコには、そういう情報、入ってきていないんですけど~~。さっすが~~励子(れいこ)さんっ。主任の同期~~。」
コーヒーブースにいるのは葉子と輪湖、そして尚子ともうひとり、
主任の鈴村紫と同期の湯川励子(ゆかわれいこ)である。
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,039. ベッドの中で由佳理、稜平に…。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
《PR》
庄司紗千「3センチの中央線」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。