匡子の自宅から出ての通と愛生。
軽ワゴン車の運転席と助手席に。
通、
「さ〜〜て〜〜。いつ爆発すんのかな〜〜〜。」
愛生を見て、
「バン。ドカ〜〜ン。」
そんな通りを見て笑いながら愛生、
「まだ、言ってる〜〜。」
「いやいやいや。言うだけは、ただだからさ〜〜。」
「…た〜〜く〜〜。」
「それよりさ、愛生〜〜。」
シートベルトを閉めながら愛生、通を見て、
「う〜〜ん。」
「おま、あんた、獏と結婚しちゃえ。」
ポツリと。
その声に愛生、いきなり般若の顔のように、
「は、あ〜〜ぁあ〜〜???…何言ってんのよ〜〜。いきなり〜〜。冗談もほどほどにしてよね〜〜。」
その声に口を尖らせながらの通、
「な~~にムキになってるかな~~。冗談に決まってんでしょうが~~。ばっかだね~~あんた~~。顔すら見た事ない相手と~~。そんな簡単に結婚出来る訳ないでしょう~~。かかかかか。そんな…、向こうからお断りだわよ~~。けけけけけ。」
そしてハンドルを左手に、右手はキーを。
愛生、
「あ~~。朝からやだよ~~。」
シートベルトを締めて。
「さ~~てと、帰って店開けるよ~~。」
「え―――――――っ!!!…まだ、9時にもなってないんですけど~~~。しかも、朝ご飯もまだ…。」
「あっ。だっけ…???…かかかか。そっか…。んじゃ、先に、飯だ。今日、あんたの番でしょ。」
間髪入れずに愛生、
「違います~~。」
「えっ…???…だっけ…???…ってぇ~~事は、誰だ。今日って…???」
「叩くよ。」
「ごめ~~ん。痛いんだけど…。」
そんな通に、愛生、疲れたように、
「…だから…。」
瞬間、愛生、
「あっ。幼稚園児。気を付けて~~。」
通、
「おっと~~。イェッサ~~。キャプテン。かかかかか。」
「いや…。…だから…。なんで…???」
家族揃っての晩御飯が終わって…。
葉子、爽太に、
「あっ。そうだ、爽太~~。」
洗った食器を拭きながら。
爽太、
「う~~ん…???」
スマホを片手に。
「この前買ったの、しっかりと、渡したの…???」
葉子の隣で食器を洗いながらの由佳里、
「あぁ~~。爽太の彼女の誕生日プレゼント。」
葉子、
「うん。」
その声に稜平、
「おっ。おほほほほほほ。爽太にも遂に…。」
爽太、
「あ~~。渡したよ。うん。気に入ってくれたみたい。」
葉子、
「へぇ~~。良かったじゃん。」
「中々センスあるって、上機嫌。」
「おや~~。」
稜平。
「まっ、選んでくれたのは、姉ちゃんだけどね~~。」
由佳里、葉子に、
「さっすが、百貨店勤務。見る目はあるって…。」
ニッコリと。
「…って言うか~~。」
葉子、
「割りと、職場の人たちも、結構アクセ付けている人っている訳よ~~。表には見えないけどね~~。」
「あっ。そう言えば姉ちゃん。あの時の、呼吸困難になった時の、男の人…。」
瞬間、葉子、爽太に、
「あっ。あ――――――っ!!!!ビーズだぁ~~。」
稜平、
「いや…。これ…、バラエティだけど…。…って…。」
稜平と由佳里、共に、
「呼吸困難…???」
そして、また、ふたり共に、
「葉子…???」
葉子、いきなり目を真ん丸にして、顔を右左に曲げながら、
「えっ…???…爽太、今、何か言った…???」
その声に爽太、顔をクシャリと、
「…ったく、白々しい~~。」
由佳里、
「葉子~~。」
そんな母に葉子、思わず両手をヒラヒラと、
「あ~~。ん~~。全然、全然オッケィ~~。」
稜平、爽太に、
「何…???葉子が呼吸困難…???…そんなの…、聞いてないけど…???」
葉子、思わず、口を捻じ曲げて…。
爽太、
「えっ…???…そうなの…???…だから、ほら。誕生日のプレゼント、姉ちゃんに付き合ってもらった、あの日。売り場で子供とぶつかりそうになって、姉ちゃん、体勢崩して…、そのまま…、身体、動かなく…。その時に、姉ちゃんを支えてくれた人。」
由佳里、
「そんな事、あったの~~葉子~~???」
葉子、今度は鼻の下を伸ばして、唇を口の中に、目は真ん丸に。また顔を右左に。そして、
「まぁ…。うん。確かに。」
爽太、
「…で、その時に姉ちゃん、助けてくれた人…。」
稜平、
「へぇ~~。ありがたいよな~~。」
「…でも、結局、名前も言わずに…。しかも…、姉ちゃんも、その人、ホンのちょっと、顔、見ただけだから…。」
由佳里、
「わお。…何…???…じゃあ~~、葉子、その、倒れた瞬間に、呼吸困難に…。で、その人から…、どうなったの…???」
その声に葉子、今度は口を尖らせて、両眉を吊り上げて…。
爽太、
「かかかか。姉ちゃんは知らないよ~~。そんな状態の姉ちゃんをその人、お姫様抱っこで、エレベーターの近くのベンチに。」
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,037. 匡子の自宅から出ての通と愛生。
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庄司紗千「おふろ月夜」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。