ドキドキ 匡子のその声に獏、口を尖らせて…。
そして自分のスマホのナンシーの画像を見て…。

そんな獏に匡子、今度は腕組みしたままでテーブルに。
そして右手甲に顎を乗せて、
「ねね、その画像を見て、気付かない…???」

獏、口をへの字にしてまでも、その画像の彼女を見て、
「ん~~~。」
そして今度は、左手で左頬から口に…。そして、また、
「ん~~~~。」
眉まで歪めて…。

そんな獏に、匡子、思わず顔をクシャリと。
「…なんで…???」

30分後、獏、駅に向かう歩道を歩きながら…、
店での匡子の話を思い出していた。

「ふん。まぁ…、ヨウちゃんのおかあさん、由佳理さんだけど~~。彼女もヨウちゃんの事は、物凄い有り得ない事実って…。どう見ても、私の子供ではないって…。そこまで私に言ったくらいだから。」
腕組みしながら匡子。
「病院で、誰かの赤ちゃんと取り違えたんじゃって。父親の稜平さんまでも、言う事は同じ。…なんだけど…、病院側では、神に誓って間違いはない、正真正銘、ふたりの赤ちゃんだって。まっ、確かに、病院側でも、驚いた…そうだけど…。日本人夫婦から、まるで外国人の赤ちゃんが生まれて来たって、前代未聞。…別に、夫婦の…、どちらも、日本人離れした顔立ち…、なんてことは、ない。それでも…。」

そして…、匡子が最後に言った言葉。
「いい。絶対に、その画像って、他の誰にも、見せちゃだめだよ。」
そこまで言って、匡子、顔を傾げて、
「うん…???…あぁ。…確か、部長さんに…この事、話した…ん、だっけ…???」

獏、
「あっ。あぁ~~。うん。彼女が、交通事故で亡くなった…までは、話したけど…、それ以上は…。」

「うんうん。まっ。それ以上の事は…、シークレット。」
匡子、そして顔を傾げて、
「まぁ~~。多分、獏ちゃんの…、女性関係、嗅ぎまわってくる人も…。いる…かも、知れないけど…。この件に関しては、禁句。タブーよ。いいね。分かった…???」

獏、少し、うろたえ気味に、
「あ、あ~~。うん。だ~~な。」

「それに…しても~~。ん~~。」
匡子。
「ヨウちゃんねぇ~~。…実は~~。私も、あなたに…。どうかな~~って、感じも…、あった…。」

いきなり獏、
「えへ~~~???」

「それに…、輪湖も…。…ふたり…、同期で…、年齢も…、同じなんだよね~~。」

「へぇ~~。」
「彼女たち、揃って、30~~。」

「へぇ~~~。ふんふん。」
獏も頷いて。

匡子、
「うん…???…因みに、その…、ナンシーって人は…???歳…???」

「あ~~。ふん。確か…、31…か…???…7月…、23日生まれ。」
「さすが、誕生日まで…。」

「かかかか、婚約者だぜ~~。当~~然。」
そこまで言って獏、
「あっ。」

匡子、
「…ん…???」

「そぅ…言えば…、確か…。ナンシーの、おばあちゃんが…、日本人…???…だっけかな~~。そんな…風な事…、聞いたことが…、あったような…。まっ。でも、あれから3年。家族とも、別れを…告げたけどね~~。」

その時点で、時計の針は午後10時を回っていた。

獏、
「んじゃ、そろそろ、俺…。」

匡子、
「うん。じゃね~~。」

佐武郎、ペコリとお辞儀を…。

駅の改札を抜けて獏、
「ふ~~ん。」

匡子は、腰に両手を…。そして、
「まさかね~~。こういう事…、あるんだね~~。」

佐武郎、口を真一文字に、そして目をクルリと、小刻みに顔を左右に…。

匡子、
「かかかかか。」
瞬間、
「しまった。」
ある事を思い浮かんだ匡子。…けれども、顔を捻って、
「まっ。いっか~~。…んな事は、有り得ないでしょ。ヨウちゃんが、獏のマンションに行くなんて…。かかかか。私の考え過ぎか…。」

翌日、既に出社している海江田に虎一郎、
「おはようございます。課長、早いっすね~~。昨日は、どうも…。」
最後の方は語尾を下げて…。

海江田、
「おぅ、おはよう。君こそ、早いんじゃあ。」

「えっ…???あ、まぁ~~。ははは。」

他に出社した社員は、2人だけ…。既にパソコンと睨めっこをしている。

海江田、
「あっ、そうそう、佐賀美君。」

虎一郎、椅子に座り掛けに、
「あっ。はい。」

海江田、虎一郎に右手を…。

そして…。
「昨夜、匡子さんからも言われたんだが…。匡子さんの店、私もこれから、通う事になると思う。彼女から、君に、よろしくと。」

「あ~~。はい。」
「そして…、当然の事なんだが…。」

虎一郎、
「は…ぁ…。」

「彼女…たちにも、君の方から、よろしくと…。」

こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~   vol,034.   「ねね、その画像を見て、気付かない…???」

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋