その瞬間、獏、
「あ~~~っと、やばいやばい。話に紛れて、忘れるとこだったよ。かかかかか。」
その声に匡子、
「へっ…???」
そして獏、自分のカバンから細長い包みを出して、それを匡子に。
「えっ…???うそ…。何…???私に…???」
その声に獏、両眉を上に。
「やだ。え~~~。開けていいの…???」
「もちろん。」
箱の中にはネックレス。
それを見て匡子、
「素っ敵~~~。高かったんじゃないのぉ~~。」
「いやいや。…ただ、残念ながら、匡姉ぇが気にするだろうかと思って、海外からではなく、しっかりと日本で買ったから、その辺は…。ご容赦の程を。」
その声に匡子、
「ふふん。OK~~。わお、素敵~~。」
そして、ユニホームの上に付けて…。
「どぉ…???」
獏、
「ふふ、いい感じ。さすが、似合うよ。」
そして、
「あっ、君、それ…、お願い出来るかな…???」
佐武郎、自分を指差して、そして匡子を見て。
匡子、
「うん。サブちゃん、お願い。」
思わず佐武郎、赤く照れながら、匡子の後ろに回って…。
そして匡子から離れて…。
匡子、獏に、
「どぉ…???」
いきなり手を叩いて獏、
「かかかか、さっすが~~。しっかりとマッチング~~。」
匡子、
「ふふん。サ~~ンキュ~~。」
「あれだけ通っておいて、何も言わずにシカゴに…。あの頃、俺も準備に何から何まで、てんてこまい。まっ、匡姉ぇには、お詫びの印って意味でも…。また、こっちが長くなっちゃうからさ~~。」
匡子、その声にニッコリと、
「いつでも、いらっしゃ~~い。お待ちしております。ねっ、サブちゃん。」
「しっかし…。」
獏、男性を見て、
「君、凄いね~~。料理…、いつから…???」
匡子、
「子供の頃からだって。私が良く行くレストランで、バイトで働いていてね。その味に私が一目惚れ。そこの店長に、この子、私に頂戴って。そしたら即、OK。」
獏、目を真ん丸く、
「へぇ~~。凄いや~~。…けど、そこの店長、こんな料理が作れる、才能があるのに…。」
その声に匡子、微笑んで、
「…ん。まぁね~~。まっ、お蔭で、カフェ匡子は、繁盛、させて頂いております。まっ、ご覧の通りのちっちゃな店だけど…。…で、店長が私ひとりで、サブちゃんだけが店員さん。ふふ、スタッフはこれだけで十分。」
その話に獏、
「まっ、元々は、匡姉ぇが、ひとりで始めた店だからね~~。ちっちゃくても自分のお店を持ちたいって。そして…、こんなに美貌に溢れる女店長だったら、繁盛するわぁ~~。かかかかか。」
匡子、ニコニコと、
「お褒めに預かり恐縮です~~。」
そして匡子、
「あっ。ねね、獏~~。シカゴにいて11年。…って事は、あんた、今…。」
ふと空を見て匡子、
「何…???…35~~~???」
獏、そんな匡子を見て、目をパチクリと、
「そ、そ…う、だけど…???」
「何々…、あなた…。ねね、11年も。11年も向うに、海外にいて、誰か…いい人…。…彼女…とか…。出来なかったの…???」
匡子のその声に獏、いきなり口を噤んで、目を真ん丸く、そして顔を僅かに傾げて…、
「ふ~~ん、その話に…、なります…か…。」
匡子、思わず顔を左右に小刻みに振って、
「いやいやいやいや。だって~~。私がこういうのも変だけどさ~~。私だって心配~~~。」
「ふ~~ん。」
何かしら、溜息のように獏。
「まぁ…ねぇ~~。」
「な~~に、溜息みたいに~~。かかか。ねね、いたんでしょ、向うに…。ねね。だ~~って、獏みたいなイケメン。それに兄貴譲りのそのバイリンガル、いない訳、ないでしょ。」
獏、ビールを飲みながら、
「ふ~~ん。帰って来てはおふくろに。同~~じ事、言われて、部長にも、同~~じ、事、言われて…。今度は…匡姉ぇ…???」
そして思わずクスリと笑う獏。
その話に匡子、
「あら…???部長さんにも~~???」
「ふん。11年もシカゴにいて、誰かいい女性…???…ってね~~。」
匡子、
「ほらほら、や~~っぱり~~。誰だって、気になるじゃ~~ん。」
そんな匡子に獏、思わず目を閉じて、
「ん~~~。」
匡子、ポツリと、
「あ・や・しぃ~~~。」
佐武郎は、席を立ちあがりレジに向かう客に…。
客が佐武郎にニッコリと右手を掲げる。
佐武郎、微笑んで客に丁寧に一礼を。
ふたりの女性客である。
獏、匡子を見て、
「言わなきゃ、ダメ…???」
匡子、思わず口を窄めて、
「ビンゴ~~~。イェ~~イ。」
右手をピストルのように、そして、
「バ~~ン。」
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,027. 獏、「やばいやばい。話に紛れて、忘れるとこだったよ。」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
《PR》
庄司紗千ハッピーストライド
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。