浩紀、
「小野倉淳…かぁ~~。またまた懐かしい名前…、出て来たね~~。」
将輝を見つめながら…。
「けど、あいつ…、今、なにやってんだ…???」
その声に将輝、
「えっと~~。その~~。」
柚花、ポツリと…、
「な~~んだかな~~。話が…、ふたりだけで盛り上がっちゃったりして~~。」
浩紀、そんな柚花に、
「あっ。かかかかか、そっか~~。かかか、だよね~~。…でも、いや。まさか、将輝…君…、だっけ…???」
将輝、
「あっ、はい。」
「弓狩さんの事。…って言うか、弓狩さん自体が、今、鴻上高校のバスケ監督しているなんて、思いもよらなかったから…。凄い懐かしいって思ってさ。…実際、弓狩監督の話をすると、かなり長くなるから…。」
柚花、
「ふ~~ん。」
結奈、
「は~~い、どうぞ~~。結花には、ミルクティ。将輝君には、ブレンドね~~。」
カウンター越しに。
柚花、
「あは。サンキュ~~。」
将輝、ペコリと頭を下げて、
「あっ、すみません。」
「はいはい。では、頂きます。」
柚花、
「これ飲んで、将輝君、買い物付き合って。」
将輝、
「あっ、あ~~。はい。」
その頃、ようやく瑞樹家に着いていた流美。和奏と一緒にリビングに。
「はは、なんだか話が盛り上がってるじゃない~~。」
麗亜、
「あっ、お姉ちゃん。おかえり~~。」
蒼介、
「ご苦労様~~。今、麗亜ちゃんの受験と理沙の大学受験の話で…。」
流美も、
「うんうんうん。」
麗亜、流美に、
「お兄ちゃんは~~???」
その声に流美、
「うん。家に送り届けた。…でも、その後は、分かんないけど…。何だろうね、予定って…。」
麗亜、
「ふ~~~ん。分かんな~~い。…でも、気になるよ~~。」
和奏、
「気になる…???」
麗亜の声に…。
蒼介も、
「ん~~。どうしたの…???」
流美も、何かしらハッキリとしない表情で…。
「ん~~。ちょっとね…。」
麗亜、
「お兄ちゃんのスマホに、知らない人のラインの画像。可愛い猫が2匹の画像の~~。」
その声に蒼介も和奏も、理沙も、一瞬、フリーズ。
けれども理沙、口を尖らせて、
「ふ~~ん。」
そんな理沙を蒼介も和奏も見つめるが…。
理沙、
「いいんじゃない…。将輝君には、将輝君の…。」
麗亜、
「何度かラインしてるみたい…だけど…。」
その時、和奏、頭の中で、
「…あっ。あの時…。」
蒼介、
「そっか~~。まっ、将輝君も、モテるんじゃないの~~。かっこいいもん。」
その声には麗亜も元気に、
「うん。」
その笑顔が可愛いと思って、蒼介も和奏も、
「うんうんうん。」
「だよね~~。」
理沙、口を真一文字に両目を小刻みに右、左に…。
麗亜、
「お兄ちゃんも、馨兄ちゃんも大好きだから。」
流美と和奏、そんな麗亜にニッコリと…。
蒼介、
「そういえば…、最近、馨君に会ってないね~~。」
和奏、
「あっ。うんうんうん。そぅそぅ。ねね、理沙、馨君、元気なの…???おかあさん、正月のほら、バスケの天皇杯。あの時の、丈師さんの車に将輝君の隣に馨君、見ただけ…。」
理沙、
「あぁ~~。うん。元気、元気~~。かかかか。何だか、アズと一緒に、ふざけ合ってたよ。」
麗亜、その声に笑顔で、
「うんうんうん。」
蒼介、
「へぇ~~~。」
「麗亜ちゃんも、馨君とは一緒に、会ってるの~~???」
和奏。
麗亜、その声には首を振って、
「ううん…。全然会えてない。子供の頃は、もぅ~~、毎日~~。学校帰りでも、土日祝日も…。」
蒼介、
「へぇ~~。」
和奏、
「そうなんだ~~。」
「お兄ちゃんも、馨兄ちゃんも、中学になって…。それでも、一緒に遊んでたかな…。でも、高校受験で、それどころじゃなくなって。」
その瞬間、理沙、
「ぷっ。くくくく。」
その笑いに流美、便乗するように可笑しがって、
理沙に蒼介に、和奏に、丁寧にお辞儀をして、
「その節は、大変ご迷惑やら、なにやら…。」
そして、舌をチロリと出して。
すかさず和奏、可笑しがって流美の左肩に右手を、
「かかかか。そぅそぅ。確かに。うん。あったね~~。家庭教師。いやいやいや。」
蒼介、
「う~~ん。…でも、あの光景は俺…、好きだな~~。あんな大勢で、しっかりと教えてるってんだから…。かかかか。」
麗亜、理沙に、
「あ~~ん。私も見たかった~~。」
理沙、
「かかかか。ごめん。ごめん。」
麗亜、
「…で、お兄ちゃんが、彼女、心臓病で、亡くした後には…、馨兄ちゃんも、学校以外じゃ、会っていないような…。休みの日は殆どの家で…。」
vol.185. 柚花、「これ飲んで、将輝君、買い物付き合って。」
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