「芙美のおかあさん、江梨子先生が八倉先生の事、好きって言うのが分かって。その先、どうなるかって…言うのが~~。」
杏美の声。
理沙、
「うんうんうん。」
「でもね~~。歳の差が~~って…。」
「あ、あ~~~。」
全部着替え終わっての理沙、今度はトランスボードを使って、ベッドから車椅子に。
「うぃっしょ。江梨子先生とさ、いっきって…、歳は…???」
その声にスマホのスピーカーから、
「ん~~。そこまでは…、なかなか…。」
理沙も口をグンニャリとさせながら、
「あっ、そっか~~。」
そして理沙、しかめっ面をしながら、
「あ~~んもぅ~~、いっきと江梨子先生、いいよ~~。うんうん。結婚しちゃえ~~。」
杏美の声、スピーカーから、
「かかかかか、だよね~~。」
スタンドミラーを見て理沙、
「ヨシ。アズ~~、じゃね~~。」
スピーカーから杏美、
「ラジャ~~。」
理沙、通話を切ってスマホをテーブルから手に。そして部屋を…。リビングに。
一樹、
「おっ。来たか~~。」
江梨子、
「理沙さ~~ん。」
理沙、
「お待たせ~~~。」
ニッコリと。
その頃、こちらでは1本の電話。
「え―――――――っ!!!マジでっ!!!」
涼香である。
電話の相手は…、篠崎柚花。スマホ越しに、
「うん。いいっすよって…。」
スマホから、
「いいっすよって…。あいつ~~~。何考えてる~~~。」
涼香、自室で椅子から立って。そして額に右手を…。
スマホから、
「涼香さんにも頼まれたからって…。」
涼香、その声を聞いて、思わずため息、
「あぁ…。そっか~~。そうなるか~~。ん~~。でも、まぁ、そうなるように、しちゃったのが、私だからね~~。将輝は責められない。ん~~。」
「…と、言う事で、涼香には報告しないと。迷惑掛けちゃったから。」
「まぁ。ん~~。気にはなってたから…。連絡、ありがと。」
「…でさぁ。ちょっと気になるんだけど…。」
「ふん…???」
「将輝君、何だか、今、関わっている事があるって、言ってたけど…、何…???…知ってる…???」
その声に涼香、
「えっ…???」
「まっ、その話は…おぃおぃ、聞くって…、言っといたけど…。何なの…???」
涼香の声、
「今、関わっている事…???」
涼香、一瞬、頭の中に…。そして、
「あっ。」
スマホの向こう、柚花、
「えっ…???何…???」
そしてもう一度柚花の声、
「涼香、えっ…???…何…???…それって、どういう事…???」
涼香、両眉を捩じらせながら…。
「あの子…、将輝…。」
スマホから、
「涼香~~~。」
涼香、
「あ~~~、ごめん、ごめん、分かった、分かった。うん。わざわざありがと。」
柚花の声、
「え~~~???…あぁ。うん。じゃ。」
そして通話は切れる。柚花、スマホをポケットに。白い息を吐いて。
いきなり左側から、
「よっ、柚花ちゃん、おかえり。」
近所の肉屋のおじさん。
柚花、
「ただいま~~。」
涼香、ルームウェアでベッドにバン。
「あいつ、理沙さんの事、どう考えてる…???」
15分経過…。涼香、
「あ~~ん、もぅ。」
机の上のスマホを持って、そして将輝の履歴に指を…。
けれども…。脳裏に過った柚花の顔。
「あ~~~~。くぅ~~~。もぅ~~~。しっかたないかぁ~~。時間…、掛けるっきゃ、ないかぁ~~。」
柚花、スマホで文字打ち。そして送信。
キッチンのテーブルでパンを食べていた将輝、ラインの着信音。
「うん…???…あっ。…今日は、ありがと…。かぁ…。」
そして、将輝、夕食を食べ終えて洗い物をシンクに運ぶ。
その時に将輝のスマホにライン。
流美、
「あは、理沙さん…???」
麗亜、
「へっ…???理沙お姉さんから、この時間、ラインや電話なんて…???」
そして麗亜、チラリと将輝のスマホの画面を…。
将輝、急いでスマホをテーブルから、
「なんだっていいだろ。」
流美、
「おやおや。」
将輝、
「ごちそうさま~~。」
そのまま2階に…。
流美、麗亜を見てニッコリと。
麗亜、顔を傾げて…。
この日、丈師は夜勤。
流美、麗亜に、
「勉強…どぅ…???…志望校…。」
その声に麗亜、
「ん~~~~。なんとも…。」
「麗亜の成績なら~~。」
翌日の朝、3年A組。
ニコニコ顔の柚花。智花と和咲と共にお喋り。
そこに涼香、
「おはよう~~。」
柚花、
「おはよう~涼香~~。ありがとうね~~。」
そんな柚花に涼香、笑顔で、
「いいえ~~。」
そしてすぐにその笑顔を消して…、口を真一文字に…。
信じて…良かった。 vol.178. 「いっきと江梨子先生、いいよ~~。」
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※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。