イギリスで我が子が小学校に通いだし、何と募金が多い行事が多いのかと驚いたが、それ以上に学校資金を集める為のイベントがめちゃめちゃ多い。
ケーキセール(保護者がケーキやクッキー等を作って学校に寄付し、子供達がそれを買って売上を学校資金にする)、トーストデー(朝の休み時間に一枚100円でトーストを販売、子供達がそれを買い売上を学校資金に)、アイスクリームデー(アイスクリームを朝の休み時間に販売し、子供達がそれを100円で買い、売上を学校資金へ)、ミルクシェイクデー(市販のミルクシェイクを紙コップで販売し、売上を学校資金へ)、母の日ギフト、父の日ギフト、クリスマスギフト、イースターギフトデーと言い、しょーもない内容のプレゼントをギフト包装したものを子供達に一つ800円で販売、売上は学校資金へ。
と、これ以上色々あり過ぎ書ききれないのであるが、とにかく多い。
プラス、これとは別に遠足代などが5000円程度たまに入る。
遠足ごときに登山ショップで買った登山靴を指定されるし、今年買ったら来年はサイズが変わってまた買い直しである。
年末は特に貧しい人への募金と食料品寄付が重なるから大変である。

アイスクリームやミルクシェイク、トーストは買わなくても別に良い。
しかし皆が買う中、自分だけ買わないという疎外感を味わいたくない児童、または味わわせたく無い保護者は金を持たせなしゃーない。
募金はお願いしますとなっているが、食料品寄付は必須であり、学校が決めた内容を寄付せねばならない。
寄付したかどうかは教師がチェックする。
していなければメールが来る。

さてこれに以前から憤慨していたのが、うちの夫である。
夫の学校はクラスに1割の割合で生活保護やフードバンクと言う食料品寄付を頼る生活家庭の子供がいる。
家庭がどういう状況か学校は把握しているが、それだけに、こんな家庭の子供に疎外感を与えぬよう、学校は貧困層家庭の子供だと他の児童に分からせるようなイベントや疎外感を生むような販売、また強制的な寄付要求は禁止されている。

うちの子供の学校がどの割合でいるのか私には知る由もないが、ゼロではないと思うと夫の学校関係者らは言う。
娘のクラスにも去年二人の児童が林間学校に行けなかった。
両親は共働きであったが、コロナで父親の仕事が止まってしまい資金繰りが無理だったからである。
教育機関はこの場合、学校が提案したのだから行けない状況にある児童は学校が援助せねばならない決まりになっている。
が、学校はしなかった。
行くか行かないかは強制ではないので、行かない選択をした児童の気持ちを尊重と学校はしたが、行きたくても行けなかった本当の理由を知りながら相談に乗らなかった。

こんな経緯があり今に至るわけであるが、これを私は娘が入学した時から夫に話し、夫は自分の今の上司に常々話してきた。
夫が勤務する学校はモデル校に指定されている為、勉強会や研修がある際はリーダー校となって仕切る事になっている。
だから、このリーダー校の校長というのは一目置かれた存在である。
今回この校長が「あの学校は指導入れなアカンわ。保護者の負担もやけど、買えない子供が可愛そうやわ。ちょっと買わなあかんイベントが多すぎる。しかも自分たちで資金繰りを努力せず、保護者から全部支払わせている」と言い、うちの夫から意義ありの質問をさせた。

リーダー校からの質問である。
答えねば来週の研修会において参加しにくくなるのは質問された学校である。
来週の研修は、貧困層の子供への学校対応について‥である。

質問はまず、貧困家庭でなくとも、生活に余裕が無い家庭かも知れない児童に毎週毎週100円でアイスクリームを売る行為に対し、もしかしたら負担になる保護者やプレッシャーになる児童がいるのではないかと考えた事は無いか?と聞いたら、我が子の校長は「100円が出せない家庭は無いんじゃないですか?1000円じゃあるまいし」と答えた。
一人っ子なら100円でも、3人兄弟が来ている家庭もある。
その場合は300円となり、遠足の登山靴だって3足買えと?と問いた。
我が子の校長は「考えた事は無い」と回答。
クレームは何人かの保護者から来るらしいが、クレーマーが言うクレームだから検討するにも及んで来なかった。

私が思うに、我が子の校長は大学を出てからこの学校しか知らないまま校長になっているから、貧困層家庭の多い学校や犯罪率の高い地域の学校を知らない。
学校がある村には市営住宅もないし、皆高級車乗ってはるし、アイスクリームやトーストが負担な保護者などいるはずもない‥と思っているのかも知れない。

もしかしたら、そうかも知れないが、表向きはそうでも、実は負担かも知れない‥と考え、児童に寄り添わねば学校の意味が無い、教育者としてプロフェッショナルではないと夫は伝えた。
現に毎年、資金理由で林間学校に行けない児童が一人以上いる。
ならば行けるようにするか、皆が行ける日数や場所に変更する工夫は無いのかと聞いた。
実際、夫の学校は過去に林間学校を1週間から3日に変えた。
理由は予算面で全員が参加出来る保護者負担金額がそれだったからである。

しかし我が校長は「30年前から林間学校の行き先と日数、金額は変わっていない」と回答。
自分は引き継いだだけだであり、行きたくない児童への強制はしておらず、行きたくない気持ちをむしろ尊重して来たと主張した。
行きたくない児童も実際にはいる。
それは良い。
ただ資金理由で行けない場合は相談に乗る義務が学校にはあり、どうしても1週間に学校が拘るならば、それを負担する義務がある。

昨今、ガソリン代や食料品の値上げ、光熱費の値上げが恐ろしいまでに上がったイギリス。
そこは考慮して学校イベントを考えねば、保護者は見栄を張ってしまう場合もあるし、恥ずかしいと本音を言えないかも知れない。
ちゃんと保護者の意見や児童の家庭環境を考慮し受け入れ、それをやって良いかどうか、負担でないかを学校が把握せねば結局は児童が恥ずかしい思いをしてしまう。
学校はそんな場になってはいけない。
学校は子供にとって公平で屈辱感を一切感じさせない場でなければならない、とそう言った。

さて、これが指導された校長に響くかどうか‥
私は伝わらんと思っている。
現に、この質問の翌日にもアイスクリームを児童に売っているし、父の日ギフトを金曜日に販売しますから、買うお金を忘れずに持って来るのですよ!お父さんを驚かせなきゃ!と児童に呼びかけている。
うちの娘も貯金箱からお金を持っていった。
「皆買うから私も買わな、冷たいと思われる」と言った。
息子は私がお金を渡さなかった為に父の日ギフトを買えず、「買わなかったから僕は父の日を祝えない」と泣いた。
娘がすかさず「二人からって言うて渡したらエエやん。同じの2つも要らんし」とフォロー。
ほらな‥こうなるやん‥
子供は買わなあかん‥て思てまうやん‥
こういう事やねん‥

実際、この質問を受けた最後に「他の学校にはそれほど貧困層家庭の児童がいるのですか?初めて聞きました。うちの学校は普通家庭の子供が来ている学校だから、これが普通かと思っています」と言った。

多分、来年の林間学校も1週間行くであろう。
行かない子は行きたくない子、またこの繰り返しである。
まあ娘も今年卒業、息子もあと数年で卒業やから別にエエけど。
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Source: イギリス毒舌日記