そして第2クォーターに入って3分程経過。ゴール下でシュート。
そのシュートを止めようと相手側の選手、両手を前に…。身体が傾き過ぎたために…。
瞬間、理沙と将輝、そして邑、
「わっ!!!」
小野倉、
「おっと~~~。」
理沙、思わず、
「あぶない。」
車椅子もろとも前に転倒。けれどもシュートは決まる。
理沙、
「えっ…???大丈夫なの、あの人…???」
心配そうに…。
けれどもその選手、懸命に体勢を元に。
理沙、その光景を見て、
「凄っ。自分で。」
将輝も、
「凄ぇや。」
味方側の選手も転倒した選手に手を貸して。
それでも尚も僅かに前のめり両手で踏ん張るが…中々車椅子が、傾いたままで…。
すると、敵側の選手が車椅子のフレームを引っ張り、何とか元の体勢に。
そして、お互いに手を上げて。
理沙、
「うわ~~。凄~~い。」
満面の笑顔で…。
弓狩、
「車椅子バスケ。車椅子を使うだけあって、そのぶつかり合いもさることながら、当然、勢い余れば、転倒も有り得ます。けれども選手同士、それもしっかりと立て直すように、練習している。しかも、それが必須。だからこそ、実業団。」
理沙、
「あんな状態でも…。」
観覧席でも馨、
「凄ぇや。」
すると、顔を傾げながらも、
「逆に、俺らのバスケより、凄いぞこれ~~。ぶつかったり、車椅子が転倒したり…。」
栞奈も杏美も、首をコクリと、
「うん。」
丈師、腕組みして、
「大したもんだ。…けど、あんなの見て、理沙さん、大丈夫なのかなぁ。」
その声に思わず栞奈と杏美、
「ぷっ。」
そして、
「くくくく。」
杏美、体を前に、そして丈師に、
「おじさん。」
丈師、杏美を見て、
「ん~~~???」
「理沙、逆にやる気になってるよ。」
「えへ~~~???」
すると馨、何かを思い出したように、
「あっ、そっか。理沙さん、中学の時、剣道部。あっ。」
そして杏美を見て、
「アズちゃんも…。」
丈師と流美、いきなり杏美を見て、
「へっ…???剣道部…???」
丈師、目をパチクリとさせて、
「凄ぇ~や。」
杏美、
「しかも、理沙、あぁ見えて、しっかりと、負けず嫌い。」
栞奈、ニッコリと、
「ふふん。我が妹ながら…。」
丈師、体を揺らしながら、
「へぇ~~え~~。」
流美、笑いながら、
「す~~ご~~。へっ…???麗亜、その事って…???」
麗亜、
「うん。理沙お姉さんから聞いて、知ってる~~。」
杏美、丈師と流美に、
「因みに~~。おじさん、流美さん。」
丈師、流美、杏美を見て、
「ふん…???」
杏美、
「こちら、栞奈さん。」
そんな杏美に栞奈、
「なに、アズちゃん、余計な事…。」
馨、
「空手をやってなさる。」
いきなり杏美、
「か・お・るぅ~~。」
馨、チョコンと顔をそのまま前に。
杏美、
「もぅ~~~。」
丈師と流美、いきなり体を左に向けて栞奈を見て、
「うっそっ!!!」
栞奈、瞬間、目を真ん丸く、舌をチロリ、
「てへ。」
流美、
「え゛~~~~っ!!!!」
丈師、
「いやいやいやいやいや。たまげたな、こりゃ。」
流美、クスクスと笑いながら、
「す~~ご~~~。へぇ~~。理沙さん…、剣道~~。それに、栞奈さんは空手。」
丈師、今度は顔を揺らして、
「参り…ました。ふぅ。」
そして、ゲームは第3クォーター。熱戦が繰り広げられる。
両チーム、ヒートアップ。見ていると、既に車椅子のぶつかり合いは当たり前。
しかも、車椅子が転倒になりそうになっても、すぐに立て直す。
一瞬にして車椅子はハンドル操作で一回転で次のモーションに。
観ている方は既に目も慣れてきて普通のバスケの試合のように釘付けとなる。
しかも、第1クォーターの時の入らないシュートが、段々入る確率が高く…。
三博も睦実も、そして弓狩も…、腕組みをしながら何度も頷く。
小野倉、
「かかかか、や~~るぅ~~。」
邑、
「うんうん。」
理沙、将輝のジャージ、右肘の方を引っ張って。
将輝、そんな理沙に頭を下ろして、
「ん~~???」
理沙、ポツリと、
「ねね、どっち勝つ…???」
将輝、
「ん~~~。20対24。かぁ~~。第3クォーター。…ふ~~ん。全く分かんねえ。」
その声に理沙、クシャリとさせて、
「え~~~???」
「ばか、おま。見てて分かんだろ、どっちも全く、互角だぞ。ヒートアップしてるし、シュートは決まるし~。」
理沙、口を捻じ曲げて、
「エンブレム、勝って欲しいけど~~。」
そんな理沙を見て将輝、ほくそ笑んで、
「まぁな。監督の教え子のチームでもあるから。」
理沙、眉だけ上下に。そしてポツリと、
「ふん。」
信じて…良かった。 vol.165. 理沙、ポツリと、「ねね、どっち勝つ…???」
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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。