尚哉、和真と一緒に涼香と恵と。タブレットで何やら。
涼香はノートを見て。
尚哉、
「なにか…???」
その声に涼香、
「ううん。」
首を振りながら、
「分かんない。」
そういう涼香に尚哉、
「ふん。」
けれども涼香、尚哉に、
「ちょっと尚哉君。」
尚哉、
「ふん…???」
涼香が尚哉と和真に…。
そんな光景を見た理沙、
「監督…、涼香さんと尚哉先輩たち…。」
その声に弓狩、
「ん~~~???理沙君、まっ、後半、見てましょ。」
理沙、顔を傾げて、
「あ、はい。」
そして後半、第3クォーター。
5分経過。その時、パスをしたパワーフォワードの佐奈田己龍(さなだきりゅう)の腰にドン。
己龍、思わず、
「痛って。」
けれども審判のホイッスルはなし。
ボールは鴻上。そのまま尚哉がゴール下でシュート。
敵陣から戻る尚哉、そして和真に将輝。その時に己龍の異変に気付く。
腰に手を当ててる己龍。
鴻上サイド、ここでようやく、
「!!!!」
弓狩、
「来ましたか~~。」
理沙、その声に、
「えっ…???」
弓狩、涼香に、
「涼香君。」
涼香、その弓狩の声に、
「はい。尚哉君にはもぅ。」
「おぅ。」
尚哉、コート上で、
「やっぱりな。」
そして、それぞれに呟くように、
「和真~~。神野~、将輝~~。潰しに来るぞ~~。」
理沙、己龍の腰に手を当てて歩いている姿を見て、
「へっ…???己龍先輩…???」
和奏も涼香に、
「どうした…の…???…何か…???」
その声に涼香、和奏に、
「ファールです。」
和奏、
「ファール…???」
「えぇ~~。つまりは、試合中、やってはいけない行為の事。反則。…でも、その反則も、審判が見つけられないうちは…。」
理沙も、弓狩を見て、
「監督…。」
そんな理沙に弓狩、笑顔で、
「ん~~~???ふふふふ。どうやら、潰しに来ているようですね~~。」
「潰しに来てるって…。」
「つまりは、ファールです。しかも、絶妙なファール。巧妙なファールと言ってもいいでしょう。中々審判も見つける事が困難なんですから…。そのファールで、潰しに掛かり、得点を入れなくさせよぅって。そうすると点数はじりじりと縮まっていく。その頃にはファールを受けたチームは、疲労困憊。そして…、僅かな接戦で勝利を掴む。まっ、いきなりファールを連発すると、どうしても相手側に見抜かれてしまいますから…。」
その話に理沙、
「そ、そんな~~。」
困ったような顔をして。
けれども弓狩、右手で顎を撫でながら、
「まぁ~~、見てて下さい。これからが、面白くなりますよ~~。」
観覧席の一樹も、
「あ~~れ~~。鴻上のひとり…、腰に手を。何か…あった…かな~~???」
蒼介、
「えっ…???先生…???」
丈師、
「思いっきり、腰をやられたようですね~~。ありゃ、ファールだ。しかも、審判に気付かれないように。」
蒼介、丈師に顔を…。
「えっ…???ファール…???」
腰に手を当てながらの己龍。
尚哉、
「お~~い、己龍~~。」
その声に己龍、しょうもない顔をして、
「やれやれ、やられちまったってか~~。相当甘く見られたもんだな~~、俺も~~。」
尚哉、口をへの字に、
「奴さんたち、やたらといい度胸してんな~~。」
和真、
「まっ、それだけ上に行きたいって事なのかも…。」
「けっ。そんな…、ファールで上に行ってどうする~~???」
「それだけ、手段を選ばないって、事かな~~。」
その声に尚哉、ドリブルをしながら、
「へぇ~~え~~。そんじゃ、そのファール、しっかりと見届けてやるかぃ。」
和真、にやりとしながら、
「そうしましょ、そうしましょ。」
将輝、ユニホームで口を拭い、
「けっ。つまんねぇファールで潰しに掛かる~~???…こちとら、そんな初心じゃないんでね~~。馨~~。」
馨、
「おぅ。任せな。」
観覧席で蒼介、
「動き、止まりましたね~~。」
丈師、
「さっき、ファールを受けた選手の回復、待ってるんでしょう。まだ、交代させる訳にはいかない。鴻上サイド、全く動揺してないみたいですから。」
麗亜、
「お兄ちゃん。」
流美、
「将輝。」
腕組みしながらの涼香とその他の部員たち。
理沙、
「みんな~~。」
そして、弓狩を見て、
「監督…。」
弓狩、
「行きますよ。」
鴻上、それぞれにパスをしながらの時間稼ぎ。
己龍がいきなり、
「ッシャ――――――っ!!!」
波浦の2人のディフェンスを潜り抜けて、シュート。
けれどもそのシュートの後にも波浦の選手、己龍の右足を踏みつけるように。
己龍、
「お~~っとっとっと。かかか、あぷねぇ~。」
わざと床に転び一回転して両足でタン。
理沙、両手を叩いて、
「わはっ。己龍先輩、何ともない。」
尚哉、コート上で、「やっぱりな。」
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※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。