そして一樹、和奏の話を聞きながら、
「えっ…???家庭教師…。将輝君と馨君の…???」
和奏、にこやかに頭をコクリと…。
「毎日、私が夕方前の買い物の時間に、みんな、ウチに来て、ふたりの家庭教師。」
一樹、
「こいつら、そんなことを~~。」
「当然、自分の勉強だって、あるはずなのに。…でも、みんな言ってました。先生の教え子だからって。」
その声に一樹、
「えっ…???」
「そもそも、将輝君と馨君が、2学期の期末の結果次第では、試合に出られなくなる。」
一樹、ここで腕組みして、頭を傾げて…、
「しかし、そんな…成績が悪いようには、見えないんだけどな~、将輝く~~ん。」
その声に和奏も、
「ふふ。私と主人も同じような考え。」
「ですよね~~。」
「でも、子供たちの考えは違った。」
「へぇ~~。」
和奏、
「だから…、これも乗り掛かった船。将輝君と馨君の家庭教師、やっちゃおうって。…でも、最初はアズちゃんと麻理絵ちゃん、理沙の3人で…、の、はずだったんだけど、それが6人になって、理沙の姉の栞奈まで。」
一樹、
「へぇ~~。」
そして両目をキョロキョロと。そして、左手の平に右拳でペン。
「あっ、それでか~~。妙に、あいつら、最近調子が良いって思って。…な~~るほど~~。」
和奏、
「先生は困っている人いたら、放っておけないって。だから私たちもって…。」
一樹を見てニッコリとしながら和奏。
そんな和奏をこちらも腕組みしながらニッコリと見ての一樹。
そして腕組みを解いて今度は、左手を左脇に。右手で頭を掻いて、
「な~~んだかな~~。」
理沙、部員たちの中で…。
「あっ、摩季、…で、この動画~~。B組の速水君って…???」
その声に摩季、
「うん。休み時間にはいっつもスマホで動画見てる~~。」
理沙、
「あんまり、顔見る事、ないけど…。」
「かかかか。うんうん。とにかくおとなしいからね~~。人の前に出てくることなんてないし…。…で、私、速水君にダメ元で、速水君って、いっつも休み時間には動画見てるけど~~。動画、好きなのって聞いたの。」
杏美も、
「うんうん。」
「そしたら、動画見るのも好きだけど、撮るのはもっと好き。これも僕の撮った動画~~って。私、ビックリして、動画見させてもらった。」
他の部員も、頷きながらうんうん。
すると摩季、頭を傾げて、
「…ん…???…あっ、いや。」
そしてモニターの動画を見て、
「だから…、これよ。」
部員たち、
「うんうんうん。納得、納得。」
芙美、
「でもさ~~。良く引き受けてくれたよね~~、動画撮るの~~。」
摩季、
「あ~~。でも、一言返事だった~~。いいよ~~って。…で、いっきから試合の情報、調べてもらって…。まっ、高校から大学まで。そして、移動できる範囲で、動画撮ってもらったって訳。」
理沙、
「うんうんうん。凄いよ、この動画。」
「で~~。速水君に、みんな喜んでた~~って言ったら、物凄い満面の笑顔。ドラえもんのジャイアンがニッコリと笑った感じ。」
その声に周囲の部員は思わず、
「ぷ―――――――っ!!!ドラえもんのジャイアン…???」
摩季、ニッコリと、
「うん。そんな感じの生徒。ちょっとポッチャリしてる。」
理沙も、コクリと、
「だ~~ね~~。」
そして微笑みながら、
「それでいて、全くと言って、目立たないから…。へぇ~~。こういう動画、撮れるんだ~~。凄いよ、なんだかテレビで見るような、カメラマンみたい。」
部員たちから聞こえてくる言葉、
「うんうん。迫力あるよね~~。」
麻理絵、
「あ~~、理沙、何か、連絡…来てる~~???」
理沙、そんな麻理絵の声に首を振り…。
「そっか~~。」
「お~~し、みんな~~。そろそろ動くぞ~~。」
一樹の声に、全員立ち上がる。
理沙、その場から、
「おっと~~。」
スルスルと和奏の下に。
試験終了後の部活、それぞれが軽いウォーミングアップ。
そして、二手に分かれてのゲームに入る。
一樹、
「声、出してこ~~。」
部員たち、
「はいっ!!!」
見ている理沙と和奏、ニッコリと。
「気合、入ってますね~~。」
後ろからいきなり声が…。
和奏、理沙、その声に後ろを振り向くと…。
理沙、
「教頭先生~~。校長先生~~。」
信じて…良かった。 vol.149. そして一樹、和奏の話を聞きながら…。
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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。