和奏、ふたりの食べっぷりに、
「ふふ。」
理沙、
「マジ、このラーメン、ヤバッ。ねぇ。」
将輝に。
将輝も、食べながら、
「もしかしたら、今まで食べたので、ダントツ。はは。」
カウンターの椅子に座っての三津葉、
「はは。」
「あぃよ~~。チャーシュー2つ。上がったよ~~。」
三津葉、
「あぃよ~~。」
和奏に、
「ゆっくりしてきな~~。」
和奏、
「うん。ありがと。」
理沙、
「おかあさん、ここって…。」
「うん。かれこれ…、もぅ…、20年近くになるかな~~。おとうさんとおかあさんの馴染みのラーメン屋。仕事終わりにはねぇ~~。ここのチャーシューが染みるのよ~~。もぅ~~、疲れた体には最高~~。」
将輝、
「へぇ~~。うん。でも、最高です。美味しいです。うん。」
後ろの席で、
「ごちそうさ~~ん。お代、ここおくよ~~。」
厨房から拓郎、
「あぃよ。悪かったな、ヤブちゃん。席変わってもらって。」
ヤブと言われた男性、そんな拓郎に右手を、
「いやいや。こんな別嬪さんと可愛いのとかっこいいのにゃ、俺の方が、席、変わっちゃうよ。」
拓郎、その声に、
「けけけけ。あんがとよ。」
和奏、その男性に丁寧にお辞儀をして。
男性、
「ゆっくりしてきな。」
入り口へと。
三津葉、
「ありがとうね~~。」
男性、右手を上げて引き戸を開けて外へ。
将輝、最後のスープを啜り。
「わぁ~~。美味しかった~~。」
和奏、
「かかかか。さすがに将輝君、食べるの早っ。」
将輝、
「ごちそうさまでした。」
三津葉、
「さすがにワカちゃんの娘。理沙ちゃん、大きくなって~~。それに可愛いし~~。」
その声に理沙、顔を赤らめに、
「……。」
「兄ちゃん、ちゃんと掴まえておかなきゃ、ダメだよ~~。」
その声に将輝、目をパチクリとさせて、
「えっ…???…僕…???」
理沙は、いきなり口をグンニャリと。
三津葉、
「うん~~。こんな、かわいい子~~。」
和奏、思わず、
「ぷっ。」
理沙、そんな母親にも口を尖らせて。
店は客が出たり入ったり。
時間は既に午後2時、昼のピークは過ぎてはいたが、店内の席は、まだ、ほぼ埋まっている。
和奏、厨房に、
「おじちゃん、相変わらず商売繁盛ね~~。」
「あ~~。貧乏暇なしだ~~な。ははは。」
そして、それから10分後には、和奏、席を立ってレジに。
「ごちそうさま~~。」
三津葉、
「あぃよ~~。」
理沙、車椅子で…。その後ろから将輝。
それほど広くはない店内だが、それぞれの客が、車椅子が通りやすいように椅子を引く。
その度に理沙と将輝、頭を下げて…。
三津葉、そんなふたりを見て、
「はは、礼儀正しいね~~。」
和奏、
「ありがと。じゃ、おばちゃん。」
「あぃよ~~。蒼介にもよろしく。顔忘れるから、さっさと来なって、言っといて。」
その声に和奏、
「ふふ。OK。ごちそうさま~~。おじちゃ~~ん。」
厨房から、
「あぃよ~~。またな~~。」
和奏、三津葉にニッコリと。
三津葉、
「気ぃ付けて。理沙ちゃん、はは。またおいで。」
そんな女性に理沙、右手を振って。
そして三津葉、満面の笑顔で、
「兄ちゃん、理沙ちゃん、頼んだよ。」
車椅子の前に…、そして引き戸を開けながらの将輝、
「えっ…???え~~。」
理沙は口を尖らせながらも顔を赤らめて。
和奏、引き戸を締めながら、
「じゃ、またね。」
外に出て理沙、
「はぁ~~。お腹いっぱい。凄いね、ここ、美味っしい~~。」
将輝も、和奏に、
「ごちそうさまでした。初めてですよ、僕、こういうとこ。」
和奏、
「はは、ほんと…???」
「はい。ラーメン屋って言ったら、食堂や、すきやラーメン。」
「うんうん。すきやラーメン、あるよね~~。」
理沙も、
「うん。私も知ってる~~。」
「さて。帰ろうっか。」
和奏、後部座席のドアを開けて。
理沙、髪を掻き上げて…。その時、
「わっ。」
助手席のドアを開けた将輝、
「えっ…???」
「コブ、出来てるよ~~。」
ガーゼで保護されているそのすぐそば…。
和奏もそこに触って、
「あららら。」
将輝、
「わ~~お。」
理沙、車椅子からシートに、
「痛くは…、ないけどね~~。」
和奏、車椅子を畳んで持って。
将輝、
「あっ、僕が。」
和奏、
「あっ、おっと~~。じゃ、お願い。」
「はい。」
軽々と車椅子を持ち、和奏、トランクを開けて。
将輝、
「よっ。とぉ~~。」
和奏、
「さっすが~~。」
信じて…良かった。 vol.119. 「おとうさんとおかあさんの馴染みのラーメン屋。」
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