それぞれが、
「はい。」
「いらっしゃい。」
将輝、
「おぅ。」
馨、
「ども。」
そして馨、
「おばさん。」
その瞬間、和奏、口に右人差し指を立てて。
馨、目を真ん丸に、
「あっ。」
そして苦笑いで右手で頭を撫でて…。
弓狩、
「将輝君。」
将輝を見て弓狩、
「理沙君の事、お願いしますよ。」
将輝、
「あ、はい。」
弓狩、
「恵君。」
恵、
「あっ、はい。」
すると恵、テーブルの上に置いてあるクーラーボックスやらなにやらを一旦床に。
そしてテーブルを部員たちの前に。
「ヨイショ。」
そして、テーブルの上に自分のタブレットを…。画面にあるショートカットに指を。
そして、ズラリと並んであるファイルのひとつをまた指を。画面には…。
動画である。
部員たち、いきなり、
「お〜〜。」
部員たちそれぞれが、動画の中の選手のユニホームを見て、
「都築だぁ〜〜。」
途端にそれぞれがタブレットの前になだれ込むように…。
弓狩はニッコリとしながら…。
恵、
「日曜日に行われた、大学バスケ、都築バーサス越野(こしの)大学の試合。」
部員たち、
「お〜〜。」
その声に理沙、
「えっ…???えっ…???」
恵、
「理沙さんも…???」
理沙、恥ずかし気に、
「うん。」
和真、
「かかかかか。ほら、おいで。」
理沙、
「いいんですか〜〜。」
尚哉、
「もちろん。俺たちはいつでも見れるから。」
「ありがとうございます。」
そして車椅子で…。
和真、車椅子を引っ張って、
「オシ。」
恵、
「少し編集してあるけど…。」
その声に和奏、
「へぇ〜〜。凄〜〜い、恵さんって、そういう事も出来る〜〜。」
その声に恵、
「へへ。はい。」
そして部員たち、動画を見ながらも、少しずつ、顔色が…。そして、
「えっ…???」
尚哉、
「点差が…。」
前半ハーフ、点差が都築大学から20点以上もビハインドの越野大学が、
後半ハーフになって、10点差に…。それからは両チーム、じりじりと一歩も譲らず。
3年の勝浦智一(かつうらともかず)、
「おぃおぃおぃおぃ。やべぇぞ、これ…。都築…。これでスリーポイント…。うわっ。なんで、5点差って…。」
そんな部員たちの顔を見ながらも弓狩はニッコリと。
10数分後、編集された動画は、ようやく…。
「ふぇ〜〜。あぶねぇ〜〜。」
今度は3年の内村洋二(うちむらようじ)、
「3点差って…。負けるかと思ったぜ。」
都築大学が最終的に逃げ切り勝利。
弓狩、
「どうですか、且元君。」
名前を呼ばれて尚哉、
「はい。」
そして頭を撫でて、
「俺たちには、まだまだですが、とにかく、意識改革…、重要ですね〜〜。てっぺんにいても、いつ、引き摺り下ろされるか…。」
「そうですね〜〜。だからこそ、常にモチベーション。」
涼香、理沙に、
「どぅ…???理沙さん…???」
理沙、目をパチクリさせて、
「凄い。凄すぎます。」
涼香、ニッコリと、
「うん。そっか。」
そして涼香、
「スポーツセンターには…、いつ…???」
理沙を見て、そして和奏を見て。
和奏、理沙を見て、
「まだ…、日程は~~。」
涼香、
「土曜日なんて…どうかしら…。」
弓狩を見て…。
「確か、水曜日が休みで…。」
和奏、
「えぇ…。理沙も、リハビリと病院への通院の関係上…。」
涼香、
「OK~~。じゃあ、土曜日。監督。」
弓狩、
「分かりました。私から先方に。」
和奏、
「ありがとうございます。」
涼香、
「将輝~~。」
部員たちで戦略を練っている中、
「あっ、はい。」
そして土曜日…。
蒼介、
「じゃ、行ってきます。理沙によろしく。」
和奏、
「うん。」
「ほんとは、僕も行きたいんだけど、日直で。」
「うん。分かってる。帰ったら報告する。」
「うん。じゃ。」
和奏、車で、
「確か…、この辺…。あっ、あった、あった。菅田~~。」
前以て将輝から地図を書いてもらって。そして、車のナビを見て…。
理沙、
「ここね~~。」
一般住宅ではあるが何かしら新しい感じの2階建て。
和奏、
「なんだか、立派な家~~。」
理沙、後部席で、
「うん。」
和奏、車から降りて玄関に。チャイムを。
家の中で理沙、
「あっ、お兄ちゃん、理沙お姉さん、来た。」
ジュースを飲んでいた将輝、いきなり、
「うっ。」
麗亜、玄関に向かって、
「ハ~~イ。開いてま~~す。どうぞ~~。」
信じて…良かった。 vol.102. 弓狩、「理沙君の事、お願いしますよ。」
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庄司紗千「おふろ月夜」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。