ドキドキ 杏美、理沙からのラインで、
「へっ…???将輝君と麗亜ちゃん、理沙の家に…???」

理沙、
「うん。バスケットコートとリンクが見たいって、あいつが麗亜ちゃんと流美さんに言ったらしい。」

「へぇ~~。」
すると杏美、
「あ~~ん、私も行きたかった~~。」

理沙、
「はは。今度、教えたげるよ。何だか、おとうさん、あいつにバスケットリンクが寂しがってるからいつでもおいでって言っちゃったし…。」

そのメッセージに杏美、
「へっ…???バスケットリンクが寂しがってる…???」

「ふん。ほら。私たちだけだと、あんまり…、シュート、入らないからって…。」

そのメッセージに杏美、目を右に左に…、
「???…ん…???…どういう意味…???」

昼休み、鴻上高校2年C組のベランダ。

将輝に馨、
「おぅ。どうした…???なんだか朝からご機嫌良さそうだけど…???」

ベランダの柵に腕組みして外を眺めている将輝、
「ん~~???…ふん。」
ニタニタとしながら将輝。

そんな将輝に馨、
「えへ…???…なんだよ、おぃ。」

すると将輝、今度は左肘だけを柵に…。
「実はさ…。」

パソコンの中から杏美、
「理沙~~、じゃね~~。お昼休み~~。」

理沙、
「うん。じゃね~~。」

こちらもオンラインの授業が終わり、一度理沙もパソコン内から退席。
本音は理沙もずっとパソコンでみんなと一緒に過ごしたかったが、
一日のライフスタイルとして、お昼はテーブル上で母親の和奏と共に摂ることにしていた。

和奏、
「はい、今日はチャーハンよ~~。」

理沙、
「わはっ。」

実際、理沙も今の今まで朝から晩まで家の中にいる。
その中で知った母親の一日の忙しさ。それを知った時、負けず嫌いの理沙としては、
確かに事故に遭って、自分の体がこうなってしまった以上、仕方がないとは思いもしたが…。
それ以上に、自分がこの状態になってしまっての、これからを下半身不随になってしまった。
そして病院から退院できた。そして今を考えて…。
しかも、今までとは異なった生活に甘んじて浸っている訳だが…。
それでも両親と姉への感謝の気持ちは大きかった。

馨、将輝から話を聞いて、
「えっ…???…俺も…???」

そして馨、右手を振って、
「いやいやいや。なんで俺まで…???」

その声に将輝、途端に困った顔をして、
「頼むよ~~。なっ。ねっ。お願いだから~~。」
馨に懇願するように…。

「え…???…なんで…、おま…。そんなに俺に…???」
「いやいやいや。…だってさぁ~~。」

武蔵野区検察庁、刑事部。
既に昼食の弁当を食べている軽部勝直(かるべまさなお)検事。
資料を両手で、しかも顎でその資料を支えるように小走りで自分の前を歩く瑞樹蒼介に、
「お~~い、蒼介~~。幾ら何でも、飯くらい時間で食えよ~~。体、持たねえぞ~~。」

蒼介、そんな軽部に、
「あ~~、すいません。…でも、これだけ、今の内に、やっちゃわないと…。」
そして部屋の中に入っていく蒼介。

軽部、
「…ったく、娘さんが下半身不随で家庭も仕事も…って、言うのは…。まぁ…、大変なのは分かるけど~~。」
そして軽部、椅子から立ち上がり、部屋のドアを。そして、
「おい、蒼介。俺たち刑事部、常にチームワークだからな~~。それだけは忘れんな。」

資料に目を通している蒼介、その言葉に、笑顔で数回頷いて、
「は~~い。分かっておりま~~す。」

将輝の話を聞いて馨、今度は自分が手摺に腕組みをして、
「た~~く、おまえって…。…やれやれ…。」

将輝、馨の前で両手を合わせて、
「頼む。一生のお願い。」

「はいはいはいはい。分かりました~~。」

将輝、途端にニッコリと、
「ほんと…???さっすが~~馨。恩に着る~~。」

「つぅか~~。理沙さんのおとうさんも…、凄ぇよな。おまえにバスケットリンク、使ってくれ。なんて…。…もしかして…、俺たちの部活見るだけじゃ、足んねぇのかな~~。」

その声に将輝、首を傾げて、
「さぁ…???」

「つぅか、おま、あれから、なんで…???女子と、本当に近しくなんねぇし…。」

その声に将輝、数秒黙って、口を尖らせて馨に、
「うるせぇ。」

その顔を見て馨、
「かかかか。」

信じて…良かった。   vol.087.   「バスケットリンクが寂しがってる」

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋