ドキドキ 茉祐子、また…、
「私じゃ…、ダメなんだよ、霧島さん…。」
カップをまた両手で握るように…、
「霧島さん、私の事…、守ってあげたい…、妹のように…って…。」

数秒の沈黙。

茉祐子、
「…そしたらさ。私…、何か…、何にも言えなくなって…。…そんな風に感じたら…、目の前が…ポカーンとして来て。そしたら…。私…、霧島さんに…。面と向かって…、そして…、霧島さんの顔を見て、いままでありがとうございましたって…。言ってた。…霧島さんに、頭…下げてた。」
そして茉祐子、コーヒーを一口。
「…そして…、今…。自分の気持ち…、整理…してる。」
茉祐子、口を尖らせて…、そして、
「羽田さんがね…。この間、会って話して…。茉祐子さんには、辛いことになるかも知れないけど…、受け止めなきゃいけない…かもしれない。…って、言ってくれたんだ。」

薫子、
「受け止めなきゃいけない…???」

薫子の顔は見ずに茉祐子、
「うん。」

「茉祐子さんも霧島さんの事、好きなように…、成宮先生も…、霧島さんの事、好きなんだって…。」

その声に薫子、胸がドキン。

「…でも、先生…。」
茉祐子、話を続ける。
「おかあさんね。おかあさんは、私が霧島さんを好きだって知って、そして、その返事として、茉祐子の事をよろしくって…。…自分が霧島さんの事を好きになるのをやめたって…。」

薫子、
「茉祐子ちゃん…。」

「親が、自分の子供の事をしあわせになってもらいたいって言うのは当たり前の事。成宮先生だって、…そう願っている。…だからこそ、自分と同じように、その人の事を娘が好きだと思っているなら…。自分は身を引こうって…。」

薫子、そんな茉祐子を見て、
「…茉祐子…。」

長い沈黙。

茉祐子、目の前に薫子がいる。それだけでまた涙…出てきて…。
鼻を啜り、バスタオルを鼻に…。
「グス…。私ね…。おかあさん…。」
少しひっくり返るような声で…。
「私ね…、おかあさん…。おかあさんには…、しあわせになって…欲しいな…。」
今度は涙を溜めて薫子の顔を見る。

薫子、困ったような…、そして優しい顔で茉祐子を…。
「茉祐子~~。」

「じゃなきゃあ~~。私、やだ~~。」
途端、茉祐子、いきなり椅子から離れて目の前の薫子のもとに。
そして薫子に抱き付き、
「おかあさんは~~。私のたったひとりのおかあさんだから~~。しあわせになってくんなきゃやだ~~~。」

茉祐子に抱き締められて薫子、唇を絞って。目をキョロキョロと…。
そして薄っすらと涙を溜めて…。
そして薫子、自分に抱き付いている茉祐子の背中を右手でポンポンと…。
「うんうん。茉祐子~~。」

そして茉祐子の背中を優しく摩りながら…。
「何てこった。愛する娘に、こ~~んな事、言わせて…。私は~~~。」
そして薫子、茉祐子を抱き締めながら、
「茉祐子~~。辛かったね~~。ごめんね~~。」

その声に茉祐子、頭を右左に…。

薫子、茉祐子の体を起こして、茉祐子の顔を両手で、
「茉祐子~~。」

茉祐子、涙で濡れた顔で、
「うん…???」

薫子、
「うん。分かった。私、茉祐子の声に従う。…じゃないと、茉祐子が切ないもんね~~。茉祐子が悲しむもんね~~。」
薫子、自然に瞼に涙が溜まり、そしてその涙が自然に頬を伝う。
「私も…、茉祐子の悲しむ顔は…見たくない~~。ふふ。」
赤く染まった茉祐子の鼻先を指でチョン撫でて…。

茉祐子、
「ほんと…???」

薫子、目を閉じ、頷く。
「うん。」

茉祐子、そしてまた薫子を抱き締める。
「良かった~~~。」

薫子、そんな茉祐子に、小さく、
「ありがと…。」

「うそ――――――っ!!!」
いきなり千晶、ビルのエントランスで…。

茉祐子、すぐさま、
「ライチ~~。声、おっきぃって。」

出社時、ビルのエントランスにも出社する社員たちが…。
いきなり大声を出した女性に振り向いたり、視線を…。

丁度エントランスに入ってきた勇吾、
「今…、女のでっかい声…。」
首を傾げて、隣の瑛輔に。

「何か、あったんすかね…???」
瑛輔、背伸びして、前を…。

勇吾、
「さぁ…???」

エレベーターに乗って千晶、茉祐子に、泣きたいような顔して…、
「うそでしょう~~。」

薫子と茉祐子~その愛~   vol.235.   「私じゃ…、ダメなんだよ、霧島さん…。」

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋