ドキドキ 店を出ていく奈都美。

椅子に座ったままで翔。左肘をテーブルに、左手に額を付けて、
「はぁ~~~。姉ちゃん、キツイぜ、これ~~。」

数日前に姉の泉美から言われた言葉。
泉美、
「だから前にあんたに言ったじゃん。元カノちゃん、誰だっけ…。加瀬さん…だっけ…。あんたの事、これからもずっと、見続けるって…。誰か、他に彼女を虜にする人…出現しない限り。ただ…、今は…、今の彼女の…、七瀬さん…。彼女がいるから…。まっ、言っちゃあ、変だけど…。影の…存在…???」

スマホ越しで翔、
「……。」

「…で、今の彼女、一緒に仕事している男性…。ほっとけないのは…、今後も同じ。…とは言っても、あんたも…結構優柔不断なとこ、あるから…。」

翔、その途端、
「ほっとけ。」

「私が、彼女をしっかりと摑まえてて。な~~んて言っても…。無~~理かもね~~。あんたも、前の彼女の気持ちを、断り切れない。…でもって、今の彼女も、一緒に仕事している人をほっとけない。…でも、今の彼女の思いはあんたにある。…なんだけど~~。…でも、人の気持ちは変わっていくもの。…そして、その変わった気持ちを…、今度は育てようとするもの…。あんたには、冷たい言葉。厳しい言葉になるかも…知れないけど…。今の状態のままじゃ、元カノとの…、鞘に戻るしか~~ない。」

唇を絞って姉の話をスマホ越しで聞いている翔。

「…とは言っても、誰も悪いことは…してないんだけど…。これが…流れ…なんじゃないのかな~~。」

翔も店に勘定を済ませて、姉の話を思い出しながら夜の街、歩いていた。
橋の袂で立ち止まり、体を預けて…。

頭の中の泉美の声、
「つまりは…、そういう事。分かる…???…彼女たちにも…、ある意味…、いい経験になるんじゃ…。翔…、あんた次第よ。」

翔、ガックリとしながら…。そして、今度は前を向いて、
「ナツ‐――――――っ!!!」

奈都美も…夜の街を歩きながら…、そして…、
「へっ…???ここって…???…駅…、南口って…。なに…???」
辺りを見回して…。
「私…、どこ、歩いてんのよ…???」
その時、バッグのスマホに着メロ。
「カン…ちゃん。」
そしてスワイプして、
「もしもし…。」

スマホの向こう、
「お~~~い。どうなった~~???」

その声に奈都美、いきなり涙が出てきて、
「あ~~~ん。カン…ちゃん…。あ~~~。」
その場で泣き崩れる奈都美。

スマホから、
「ナツ…???…ナツ。ナツ。ナツナツナツ。」

泣きながら、腰を落として両膝の上に顔を埋めて…。

それでもスマホから聞こえてくる葉月の声、
「ナツ…???ナツナツナツ。…どうした、おぃ。」

2分ほど、葉月の声が続く。
そして…、葉月の声が途絶えた。

まだ通話の切れていないスマホ。左手で奈都美、
「もしもし…。カンちゃん…。」
涙で濡れた顔。鼻水までも…。

葉月の声がスマホから、小さく、
「ナツ…???」

「翔…。…終わっちゃったよ…。」

その声に葉月、目をキョロキョロと…、
「えっ…???…ナツ…???…ナツ…???」

数秒後、奈都美、
「私が…、遠くに見えるんだって…。」

葉月、
「遠くに…。」

奈都美から言われたその言葉に葉月、首をだらりと…、
そして右手で髪をすくって、そのままで、
「あ~~~。ん~~~。そっか~~。参った~~。」
そして、
「あいつも…。そんな風に…感じてた…か…。」

奈都美、まだその姿勢で…、
「…カンちゃん…。」

葉月、
「ナツ、今。…どこ…???」

奈都美、その声に顔を上げて、右左見て…、
「…井ノ原駅…、南口。」

「わちゃ…。随分とまた…、離れた場所で…。」
そして、
「ナツ…。ナツ…???…大丈夫…???…私…、そっち、行こうか…???」

その声に奈都美、ようやく立ち上がり、2.3歩歩いて壁に寄りかかり。
「ううん…。大丈夫。カンちゃんの声聞いて、少し、落ち着いた。…これから…、帰るよ。」

「う…うん。気を付けて…。」

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋