ドキドキ ドアの外には優里亜。
スーパーのレジ袋だろう、買い物をした様子。

優里亜、
「来ちゃった。へへへへ。」

翔、
「来ちゃった…って、おま…。」

優里亜、翔の左を見て、
「わっ。痛ったそう~~。」
そして自分から進んで、
「おっ邪魔っしま~~す。」
翔の前を通って。

翔、
「優里亜。」

優里亜、
「だ~~って、翔、左…打撲って…、三角巾で吊るされてるって…。そんな状態だったら、何にも出来ないでしょう。…それに…、買い物に…行ける自信…ある…???その状態で…???」

その声に翔、帰ってきたまんまの自分の姿を見て、
「…ん…???ん~~。」

優里亜、
「まっ。周りの人の注目を浴びるのが…、関の山って…とこ…かな~~。」
そして、冷蔵庫を開けて、思わずフィンガースナップ、
「予想通り。まず、ストック…なし~~。」

ただ黙って突っ立っている翔。

構わず優里亜、
「お昼抜きでしょ。」
バッグからエプロンを出して…。
「…で、今までベッドで寝ていたと…。」
にっこりと。
「その恰好、見りゃ、分かるでしょ。ふふん。」
エプロンをして、腰のところを両手で結んで、翔の背中を…、
「ほぃほぃ。怪我人は休んでる。」

口をへの字にして翔。

「だ~~いじょうぶ、料理したら、私…すぐ帰るから~~。こんなとこ、ナツに見られたら…最悪だよ。」

翔、背中を押されながら、
「…ったく~~。」
けれども、
「…って…。」
頭を掻いて、
「参ったな~~。」
そしてゆっくりと床に座って…。

キッチンから優里亜、
「…けどさ~~。その状態…、これから…どうするの~~???」

「どうするのって…???」
「…通院は…するんでしょ…???」

「あ~~、うん。」
「でも…、ここで…、その状態…。」

その声に翔、
「あっ。うん…。ん~~。まっ、何とか…。家での処置、看護婦さんから聞いてるから…。」

優里亜、
「ふ~~ん。」
そして僅かに沈黙…。
「…で、出来んの…ひとりで…???」
その途端、前を向いて鼻の下を伸ばして、舌をチロリ。

翔、
「はぁあ…???…いや…。出来るも何も…、やんなきゃ…。やってみなきゃ…。どうしようも…。」

「わざわざ…ナツ…呼ぶの…???…はい、とりあえず~~ウーロン茶。そして~~サラダ。」

翔、
「あっ。」

優里亜、腕組みして、口を尖らせて、
「ビール、飲める訳ないでしょ。ふん。怪我人が…。」
そしてにっこりと。
「待ってて、今、別の作ってるから…。」

勝手知ったる翔のアパート。
実は、付き合っていた時には、しょっちゅう翔のアパートには来ていたのだ。
当然ではあるが、翔も以前、優里亜のアパートまで送って行った時もあったように、
優里亜のアパートの、部屋も知っている。

優里亜、料理をしながら、
「まぁ…。右手が無事だから、なんとかは…、なるとは…思うけど…。」

翔、ウーロン茶を飲んで、サラダを…。
食べて、目を真ん丸く、
「旨っ。」

フライパンで何やら炒めている音。しかも、いい匂いが翔の鼻を…。
翔、思わず、
「おほほほほほほ~~。」

優里亜、
「えっ…???なんか言った…???」
体を後ろに下がって…。翔の顔を…。

翔、右手をヒラヒラと、
「いやいや。」

その時、チラリと見えた、空の皿。優里亜、思わず目を真ん丸く、
「え゛っ。」

炒めた料理を皿に盛り付けて、そのまま翔の前に、
「うそ…。もう食べたのサラダ。早~~っやっ!!!」

翔、
「えっ…???あ~~。うん。」

優里亜、
「なんとまぁ…。はい。簡単に出来るのって言えば、野菜炒め。」

翔の鼻をくすぐる美味しそうな匂い。
翔、なんとも気恥ずかしい気持ちもあるが、作ってくれた感謝の意を込めて、
右手を縦にして、そのまま額に、
「いただきます。」

優里亜、
「どうぞ。ふふん。」

そして翔、一口。
「おぅおぅ。」

優里亜、
「おいし…???」

翔、声には出さず、口をモグモグと、数回頷いて。

優里亜、
「ふふ~~ん。キッチンは片付いている。綺麗にね。…とは言っても、逆に言えば、キッチン…、あん~~まり、使ってないよね~~。」

優里亜に思わず、横目の翔。

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋