私がイギリスに嫁に来た時、義母の気持ちはとても揺らいでいた。
長男夫婦の仲が既に酷く、2か月半に一度1週間も2週間も泊りに来る長男夫婦に義母はストレスを抱えていた。
また、義母の次男が離婚して数年経ってはいたのであるが、その別れた妻とあまりに親しい間柄だった事から、二度と会わなくなった事を嘆き悲しみ、気持ちがかなり落ちていた時に外国人の私がやって来たというわけである。

その上、私の酷いホームシックを見る日々も義母には辛かったと思う。
言葉をどれだけ投げかけても、私にそれが通じない。
私も伝えられない。
そのもどかしさで1年を乗り切っただけに、不思議な絆が生まれて行く事になる。

義父母が暮らしていた家は、当時マンチェスターユナイテッドの選手が多く住むエリアで、そこにはお洒落なカフェやレストランが並んでいた。
週1で義母とカフェに行っていた私は、義母から生き別れになった元義理娘の話をよく聞かされた。
とにかく好きだったんだ、大好きだったんだと私なりに理解した。
「あの子にもう一度死ぬまでに会いたい」と言う願いを義父は叶えず亡くなったが、義母には叶えてやりたいと、うちの夫が兄に内緒で行方を捜し、やっとフェイスブックで探す事が出来た。
それでも数年は返事が無く、今の生活があるのだから当然だろうと諦めていたのであるが、彼女の方から連絡があり、一昨年だったかそれが実現した。
義母の家に元義理嫁が来てくれたのである。

一緒にランチに行き、「もう会うのは本当にこれで最後だけど元気で」と別れたという。
義母がいつ亡くなっても後悔が残らぬようにしたかった夫であるが、あれである意味叶っていたのではないかと思う。

義母は数年前まで、私に「私が死んだら棺の中にアノ子(元義理嫁)との2ショットの写真を入れて欲しい」と言っていた。
その写真は数年前まで義母の化粧台に置いてあった。
今回それを思い出し、夫と2人でくまなく写真を探してみたが見つからない。
3日かけたが、どこにも無いのである。

たまたま義母の妹さんが電話をかけてきたため、夫はそれを話した。
すると妹さんが「ああ、あの写真は封印したんやで。もう今は近い義理の娘があの子を超えたから、飾る必要もあの世にも持って行く必要のないものやからと写真を外し、姉とあんたの嫁さんと孫娘の写真がスペインに行った時に撮ったやつに変わってるはず。飾って無いか?」と言った。
確かに、化粧台にあるフレームが、その写真に入れ替わっていた。
妹さんは「せやから、棺に入れる必要も探す必要もない。見つからんという事は、持って行かんでエエと言うてるはずやから」と言った。

家を売却する時は、全て義母の持ち物を整理する事になる。
私は夫に「もしも写真が見つかったら、その時は義母の写真の裏に一緒に入れて飾ってあげれば良いかもよ」と提案。
そうしようという事になり、写真は諦めた。

今日、遺体安置所から葬儀屋さんに遺体が渡ったと連絡があった。
やっと棺に入れて良かったと思う。
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Source: イギリス毒舌日記