男性の後ろから歩きながら葉月と奈都美、
「凄い、趣のある屋敷ですよね~~。」
「ほんと…。創業、明治20年。」
「ありがとうございます。先代たちも、喜んでいますよ。」
徳美。
「先ほどの…、和服の女性の方は…???」
最後尾で伸永。
「うちの…女将です。」
葉月、奈都美、
「へぇ~~女将さん…。」
廊下を歩きながら、奈都美、
「う~~っわ。凄い中庭。綺麗~~。」
葉月、
「凄い、お屋敷ですよね~~。」
そんな声に徳美、照れながら、
「えぇ…、まぁ…。昔からの建物ですから…。」
そして、一室の引き戸を開けて。
「こちらで、お待ちください。すぐに戻ります。」
奈都美、葉月、伸永、
「ありがとうございます。」
翡翠堂、店の前にも小さな庭があり、その中にはあづまやがある。
そこで落ち着きながらの老人。
「おとうさん。こんなとこで、何やってんですか…。見えましたよ、クック・ル・ポットの皆さん。」
和服の女性。
老人、
「おぅ、季実子さん。えぇ…、お店の方で、見掛けました。お3人ほど…。…綺麗な方々ですね。そして…、可愛らしい男性の方…。けれども、珍しい男性だ…。はは。」
「何、とぼけた事、言ってるんですか。挨拶くらい…してくださいよ。幾ら、全部、徳美に任せると言っても…。まだまだ、修行…半ばなんですから…。」
そんな声に老人、
「なになに、やらせてみた方が良いですよ。…逆に、私が口を出すと、それだけで、新しいものが出来ない。前とは違うんですから。」
「もぅ~~。頑固なんだから~~。」
「ははは。誰に似たんでしょうかね~~。」
部屋をあちらこちら見廻しながら葉月、奈都美、そして伸永。
「さすが、凄いよね。賞状…。」
「それに、トロフィや楯。」
伸永、
「あっ。この…写真…。真ん中の人…。確か、店で見掛けたおじいさん。」
その声に奈都美と葉月、
「え~~~???」
葉月、
「あっ、ほんとだ、あのおじいちゃん。」
「私の祖父です。7代目、翡翠堂の店主、蓬田徳康(よもぎだとくやす)です。今は、相談役として…。」
入口で徳美。
葉月、いきなり後ろを、
「あっ、失礼しました。」
入口から入ってきた徳美と同じユニホーム姿の男性と女性。
徳美、自分の右隣の男性に手を、
「専務の飯田肇(いいだはじめ)。そして…。」
今度は左側に手を、
「料理長の雫石光流(しずくいしひかる)。」
「専務の飯田です。お世話様です。」
肇。
そして、
「料理長の…雫石と申します。よろしくどうぞ…。」
葉月ら3人、ふたりに自分たちの名刺を…。
すると、伸永の前の雫石光流、
「えっ…???おだ…のぶなが…???」
奈都美、葉月、
「あっ。」
肇も、
「わっ。」
徳美、
「えっ…???」
光流、
「凄い名前~~。」
にっこりと。
肇、
「いやいや、おだのぷながとは…、凄いですね~~。」
伸永、
「あっ。はい…。と…言うか、いえいえ。」
そこに、
「初めまして…。」
入口には、先ほどの和服の女性。
「こんなところからすみません。翡翠堂の…、蓬田季実子(よもぎだきみこ)と申します。」
肇も光流も女性に挨拶して…。
「女将…。」
季実子、
「今後とも、翡翠堂をよろしく、お願い申し上げます。」
そして廊下の左側に手招きして、
「早く、早く。」
季実子、老人をしっかりと自分の脇に据えて。
老人、照れるように、
「そんな…、おま…、体、ピッタリと…。」
その瞬間、光流、
「ぷっ。相談役…。」
老人、中の3人の男女に、
「蓬田徳康(よもぎだとくやす)と申します。」
一礼をして。そして手前にいる女性に右手を。
奈都美、思いっきり、畏まって、椅子から立ち上がり、差し出された右手を握り絞めて、
「は…初めまして…、七瀬と…申します。」
徳康、数回頷いて、
「うんうん。よろしく。」
そして…。
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庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
Source: THMIS mama “お洒落の小部屋