「ここに…、尾田君…、夜は…ひとり…。」
奈都美。
「…って、言うか…。僕の家なんで…。ここ…。」
伸永。
「あ…。はは。そっか…。当たり前か…。」
「でも…、何だか…恥ずかしい…。」
翔、葉月、
「へっ…???」
「あんまり…。…っていうか、お客さん…くるの…、珍しいんだ…。とうさん、亡くなってから…。」
唇の絞って伸永。
4人、一瞬、暗い表情で…、
「あっ、あ~~。」
朋代、
「だけど…、お姉さん、さすがだわ。掃除…行き届いてる~~。だから、毎日…来てるんだ。」
「うん。凄いよね。お客様、来ない家なんて…考えられない程。生活感、ありあり。」
葉月。
伸永、リビングに案内して。
「うんうんうん。なんともセンスある~~。」
葉月。
伸永、
「姉ちゃん、綺麗好きだから…。それに…、動いていないと…。落ち着かない…みたい。…あっ。なんか…、飲み物…。」
その瞬間、奈都美、
「あ~~。いい、いい。尾田君は、ただ、私たちが言う事に、応えてくれたら、それでいいよ。私たち、やっちゃうから…。」
奈都美の声に伸永、
「す…、すみません。」
「…っと~~、まずはキッチン。」
伸永、
「物は…勝手に使って、構いませんから。」
奈都美と朋代、
「OK。」
「でも…、使ったものは…ちゃんと元に、戻しておきますから、大丈夫。」
葉月、冷蔵庫の中を見て、
「さっすが。整えられてる~~。」
そして、
「かかかかか、こりゃ、私ら、かなり勉強になるよ。」
奈都美、
「ん~~???」
葉月、
「尾田ちゃん、ひとりだもん。なんとも、スッキリ、無駄ひとつない。」
朋代も一緒になって。
「うんうんうん、季節だからね~~。溜め置きも…ないっ。」
翔、あちらこちらと、部屋を見回して、廊下とリビングを行ったり来たり。
伸永、
「翔さん。僕の部屋…見ます…???2階だけど…。」
翔、
「へっ…???あ、あ~~。うん。」
奈都美、
「翔~~。うん、行っといで~~。私たちも後で…。」
翔、
「おぃおぃ、男性の部屋に…おま…。」
その声に葉月、
「あっ。」
奈都美、舌をチロリと出して。
朋代、その時、奈都美を見て、
「……。」
2階に上がる伸永と翔。
朋代、
「尾田ちゃんのお姉さん、凄いわ。」
葉月、
「うんうん。こんな大きい家…、ひとりで…。」
「歳の離れたお姉さん。…しかも…、腹違い…。…そして…両親なし。」
奈都美。
「内気で…、臆病そうな…。」
朋代、
「ナツ…。」
葉月もそんな奈都美を見て、
「……。」
両隣のふたりから顔を見られて奈都美、
「へっ…???」
朋代、
「くく…。ナツ…、尾田ちゃんの事、一生懸命だよね~~。」
葉月、
「くく、ほ~~んと。」
奈都美、
「へっ…???あ…、いや…。なになになに。一生懸命って…。…そりゃ、一生懸命になるでしょ、課長や部長に頼まれてるんだから~~。…それに…お姉さんにも…。」
そんな奈都美に朋代、
「ふん。…だよね~~。かかかか。」
そして葉月を見ながら…。
葉月、顔を傾げて、
「ふん。」
「へぇ~~。ここが尾田ちゃんの部屋~~。さすがに片付いてる。かかか。俺の部屋なんて、及びもつかない。」
そんな翔に伸永、にっこりと顔を傾げて。
翔、
「しかも…、美術系の本…、びっしり…。」
部屋の中をぐるりと見回して、
「そして…。この映画のライブラリー。…どんだけ観てんだよ。」
伸永、
「数えた事は…、ありませんけど…。2000本は…、あるかな…。」
翔、
「2…2000本…。いやはや…。」
そして翔、そんな映画のライブラリーを見ながら、
「しかも…、しっかりと…分けられて…。」
伸永、後ろ髪を掻きながら、恥ずかしそうに、
「分けて置かないと、観たいって言うの…、探すの…面倒だから…。」
翔、腕組みをしながら、
「うんうんうん。確かに。」
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庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
Source: THMIS mama “お洒落の小部屋