会社の帰り道。葉月と奈都美。そして伸永。
葉月、
「…けど、尾田ちゃん、なんだか、凄い存在感…出て来てるんじゃない~~???」
伸永、
「え~~~。そんな事…ないですよ~~。全然。」
畏まったように右手をひらひらとさせながら。
「こんな、ヒョロヒョロっと、してるのにね~~。かかかか。」
奈都美。
葉月、
「か~~~。同じ仕事をしてるくせに、良く言うね~~。」
奈都美をジロリと睨むように。
奈都美、伸永の顔をクシャリとしながら見て。
伸永も負けずに、ジロリと奈都美を。そして笑顔に変わる。
葉月、
「かっかかか。良いコンビだよ。」
「翔は…直帰か~~。」
前を見ながら奈都美。
葉月、
「ふん。なんやかんやで、忙しい奴で。でも、羨ましいよ。元々、仕事…出来る奴だから。ダイさんと、ムラさんから、滅茶苦茶、可愛がられてるからね~~。」
奈都美、その声に、嬉しそうに、
「うん。」
葉月、
「おやおや~~。う~~ん、未来の旦那様~~。…ってか~~。」
奈都美、いきなり顔を赤くして、
「うるさいよ。ふふん。」
そして、
「あっ。そうだ、ユッコ、野菜ソムリエ…講座、どんな感じかな…???」
「もうすぐだよね。資格取得。」
葉月。
奈都美、
「うん。」
伸永、
「あっ、そっか。カンちゃんも七瀬さんも、野菜ソムリエの資格…持ってたんですよね~。」
葉月、
「うん。まっ、ナツの場合は、その他に、食品衛生管理の資格も…。」
伸永、
「凄いですよね~~。」
「尾田ちゃんは…何か…資格って…???」
伸永、その声に、頭を掻いて、
「あ~~。僕は~~。宅建…持ってます。大学、卒業して、すぐに…。」
その瞬間、奈都美と葉月、
「ぶっ。」
「え―――――――っ!!!」
葉月、
「そっちの方が、滅茶苦茶凄いじゃ~~ん。国家資格だよ、国家資格~~。」
伸永を睨みつける奈都美。
「ぶ~~~~。」
伸永、
「いやいやいやいや。…なんで…そんな目…。」
「…ってぇ~~事は…、ナツも…そこまでは…、知らなかった…と。」
葉月。
奈都美、
「知る訳、ないじゃんよ~~。」
葉月の左肩に凭れるように、泣き声みたいに、
「やだ…もぅ~~。全然、レベル…違う~~。」
そんな奈都美に葉月、宥めるように奈都美の体を抱いて、
「かかかかか。はぃはぃ。」
そして、
「尾田ちゃ~~んが、虐めた~~。」
伸永、困ったように、
「そんな……。」
奈都美、そんな伸永を葉月の肩に凭れながら、舌をペロリと、
「べぇ~~~。」
伸永、困ったように、
「七瀬さん…。」
その時、数メートル前から、
「キャ~~。やめて下さい。」
女性の声。
2人の男性が、大学生らしい女性2人に、何やら…。
女性、
「やめて下さい。やめて下さい。」
男性2人に捕まったかのように…。
そして伸永たちの目の前を。そして伸永の左肩にガンとぶつかって。
男性、
「なんだてめぇ。」
伸永の頬に唾を吐いて、
「やるってぇのか~~。」
その瞬間、男性の左脛に激痛。
しかも、その男性の右脇腹にも激痛。
男性、
「うっ…。」
そして伸永を見る顔が…、次第に緩んで…。
男性、顔を真っ赤にさせて。
もうひとりの男性、
「おぃ…、どうした…???」
男性、体をよろめかせて、
「行くぞ。ゲホッ、ゲホッ。」
もう1人の男性、
「おぃ。」
ふたりの大学生風の女性2人、何が起こったのか…、両手を口に当てて、
「???」
わずか、数秒の出来事。
葉月、奈都美、
「!!!!」
葉月、
「うそ…。」
男性をもうひとりの男性が支えながら後ろを歩いていく。
奈都美、伸永を見て、
「ノブ…。」
葉月、目をパチパチと…。
ふたりの大学生風の女性2人、伸永に向かってお辞儀をして、
「ありがとうございました。」
そして、駆け足で走っていく。
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庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
Source: THMIS mama “お洒落の小部屋