「ふ~~ん。まさかね~~。あのキャンペーンのチラシが…。」
ベッドで胡坐を掻きながらスマホを耳に奈都美。
スマホの向こう翔、
「ふん、いきなりで、ビックリした。郷池課長から情報…入ったらしいよ、課長~~。」
奈都美、
「かかかか。あのふたり…かなりの飲み友達だからね~~。」
「な~~んだか、今頃、ふたりで盛り上がってんじゃねぇ~~。」
「かかかかか。…でもさ、優里亜…、髪…切ったって…。」
「ふん…。全く…イメージ湧かないんだけど…。」
「何かの…心境の…変化…???」
翔、
「さぁ…???」
「あっ。そう言えば翔~~。あれから、変な電話…あったぁ~~???」
「ふん…???あぁ…。いや…、な…い…なぁ。うん。」
「うん。そっか。うんうんうん。分かった。んじゃ…。」
スマホの向こう、
「おぅ。じゃ、明日な。」
「うん。おやすみ。」
通話を切って奈都美、
「良し、おっ風呂~~。」
…の、瞬間、着メロ。
「えっ…???…だれ…???」
見覚えのない電話番号。
「もしもし…。」
と、その瞬間奈都美、
「…ヤッバ~~、知らない番号…、出ちゃったよ~~。」
するとスマホの向こうから女性の声。
「もしもし…、ナツ…???私…、優里亜。」
その声に奈都美、いきなりビクン。
「えっ…???優里亜…???」
「うん。」
奈都美、
「私の…電話…番号…。」
「うん。もう…かなり前…。ナツから…番号…、教えてもらってた。」
その声に奈都美、
「うそ…。」
「ううん…。あなたから…教えてもらった。」
静かな柔らかい声。
奈都美、
「そう…だったんだ…。うん。」
スマホの向こう、優里亜、
「ナツ…。今回は…ごめんね。」
「えっ…???」
「ほら…、期間限定のキャンペーンの…。」
「あぁ…。」
「本当は…尾田君にお礼言わなきゃいけないんだけど…。私…、尾田君の番号…知らないから…。」
「あ~~、うん。そうだね。」
「だから…、ナツから…彼に…お礼言ってくれない…???私からって…。」
「あ~~、あ~~。」
頭を掻きながら奈都美、
「う…、うん…。いいけど…。」
その時、ふと思いついて奈都美、
「…で、でも~~。どうせなら…優里亜から…、直接、彼に…言った方が…。…ほら。その方が…尾田君…喜ぶかも…。なんたって、アレフーズ東京、物凄いトコからアプローチされたんだもん、優里亜~~。おめでとう~~。」
優里亜、
「あっ。はは。うん。ありがと。」
何かしら、今までの印象とは全く異なる優里亜の声の調子。
奈都美、頭の中で、
「…優里亜って…、こんな優しい…声…だったかな…???」
すると優里亜、
「うん。そうだね。あっ。そっか。」
奈都美、
「…ん…???」
「ううん…。うん。分かった。商品企画開発部、行くね。お礼兼ねがね。」
「えっ…???え~~。うんうん。」
奈都美、キョトンとして。頭の中で、
「…何…???どういう展開…???」
そして翌日のお昼前。
内海、
「はい。分かりました~~。よろしく~~。」
そしてその10分後。商品企画開発部に現れた優里亜。
「お疲れ様です。」
スタッフ一同、お互いに顔を見合わせて、
「???」
優里亜、瀧澤の席に、
「瀧澤部長、昨日は…大変申し訳ありませんでした。」
丁寧に頭を下げて。
瀧澤、笑顔でコクリと。
「お疲れ様。そして、おめでとう。」
優里亜、
「ありがとうございます。」
そして今度は内海の席に。
「内海課長。申し訳ありませんでした。」
こちらも丁寧に頭を下げて。
そんな優里亜を見て初めて奈都美、頭の中で、
「…そういう…事か~~。」
内海、
「おぅ。わざわざ。ありがとう。」
そして商品企画開発、スタッフ全員に、深々と頭を下げて、
「今回は…申し訳ありませんでした。」
康、唇を絞って。
勇喜雄、
「おぃおぃ。加瀬君…。」
優里亜、
「そして、ありがとうございました。」
再び、丁寧にお辞儀をして。
奈都美に優里亜、頭を下げて。
奈都美、
「優里亜…。」
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庄司紗千 花笠音頭
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
Source: THMIS mama “お洒落の小部屋