美桜、続ける。
「大学時代、そして卒業してからも…そうだけど。あの頃の優里亜って、物凄い人に優しくって、それでいて、自分を大切にする人って…。そんな感じで友達やってて、私、楽しかったけど…。」
優里亜、黙って美桜の話を聴きながら、
「……。」
「…けど、いつの間にか…連絡、少なくなって…。いっつも、仕事…忙しそうで…。たまに…電話しても…、結構…留守電…多かったよね…。」
優里亜、
「…美桜…。」
「…だから…。私も…。とにかく…優里亜、仕事、頑張ってるんだ。邪魔しちゃいけないって…。はは…。連絡…できないでいた。」
「美桜…。」
「ふん。そっか、そっか。そんな風に…なっちゃってたか…。」
優里亜、
「美桜の方は…???今…、どんな感じ…???」
「ふん…???私…???」
美桜、クリームパスタを食べて、口の中にツルン。
口を一文字にして、目を右左に…。そして頭を傾げて、目をパチクリと優里亜を見ながら。
優里亜、
「美桜ったら~~。」
急かすように。
「ふふ~~ん。」
「なになに…???」
「ふふ~~ん…???…ん~~???」
優里亜、いい加減に、
「もぅっ!!!」
美桜、
「かっかかかか。分かった、分かった。はいはいはい。落ち着いて、落ち着いて。うん。」
口を捻じ曲げながら優里亜。
そして美桜、左手を優里亜の前に、
「これが、目に入らぬか~~。」
その瞬間、優里亜、
「えっ…???えっ???えっ???いつの…間に…???」
優里亜の目の前に差し出した美桜の左手に薬指の指輪。
美桜、
「だ~か~ら~~。それだけ、周りの事、そっちのけって…事なんだよ、優里亜~~。」
優里亜、
「えっ…???」
「好きで、好きで、仕方がない。それは分かるよ、誰だって、そういうの~~。…でもさ~~。相手に一途って言うのも分かるけど…。周りの事、全く意識できなくなると、心…荒んじゃうよ。いい仕事したいって言うのも分かる。けどさ~~。仕事って…。パートナーって、そういう…ものかな~~。大学、そして、それから1年…???あの頃の優里亜って、今…、私の目の前に…いないよね。」
優里亜、
「美桜…。」
「付き合って2年。ようやくね~~。巡り会っちゃいました~~。へへへへ~~。」
「美桜~~。」
「あ~~。言っておくけど…、同じ会社の人じゃないから~~。仕事は…出来る。…けど、それと同様に、物凄い、友達いっぱい。ん~~。まっ、それほど…イケメン…でも…ない。かっかかかか。どっちかと言うと、お笑い系…に、近いか…。とにかく、その人の傍にいるだけで、ホッとするっていう感じ。当然、友達、大切にする人。…でも、その中でも、こころ…許せる人…だ~~ね。」
優里亜、
「美桜…。」
「まっ。まだ…吹っ切れないって言うのがあるかもしれないけどさ。完~~璧に、あんたの知らないところに行っちゃった人なんだよ。その人。今まで一生懸命だったのかも…、知れないけど…。そろそろ…あの頃の優里亜に戻ったら…どう…???」
唇を懸命に絞る優里亜。
「勿体ないよ、可愛いのに。」
優里亜、美緒に、
「バ~~カ。」
別々のホームに別れる優里亜と美桜。
美桜の方のホームに電車が到着して乗る。
その瞬間、優里亜のスマホにライン。
「…こころ、許せる人…、見つけな。またメールする。」
優里亜、
「美桜…。」
そして電車が到着する。乗り込む優里亜。数秒後発車。
ドアの一番近くの席。隣の席には…40代だろうか女性。
右腕で一冊の雑誌。その表紙に…。「クック・ル・ポット。期間限定キャンペーン」の文字。
優里亜、
「ふぅ…。こころ…許せる…人…かぁ~~。」
そして、
「私…今まで…。」
今度は頭を窓に…。
「な~~にやってのかな~~。」
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庄司紗千 きっと大丈夫
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
Source: THMIS mama “お洒落の小部屋