ドキドキ  翔との通話が切れて数秒後、再び着メロ。
「おっと~~。は・あ…???尾田君…???」
また画面をスワイプして、
「はい。七瀬~~。尾田君、どうした~~???」

伸永、鞄の中を探しながら、
「あっ、七瀬さん、お疲れ様です。すみません、遅い時間に…。休まれてました…???」

奈都美、そんな伸永に、
「ううん…。まだ…。」

「すみま…せんけど…。七瀬さん…。デランナさんへの企画書って、持ってませんよね。」
「デランナさんの…企画書…???…って、あぁ。でも、あれは尾田君、持ってるんじゃ…、しかも、尾田君のタブレットにも…。」

「それが…。企画書が…ないんですよ。しかも、タブレットに保存してあるはずの…、そのデータも、ショートカット自体、削除されてるというか…。僕が…何かと間違えて…。いやいやいや。そんなはずは…。」

「うそうそうそ。デランナさん…。あれって…明日、あちらさんに…提出って、期限なの…に。デランナさん。物凄い神経質だから、そういうのに、過敏に反応。う~~っわ。まずいよ、尾田君。」
いきなり背筋をピンとして奈津美。

何度も何度もカバンの中を探りながら伸永、冷や汗まで滲ませて、
「そうなんですよ。まずいんですよ…、困った~~。弱った~~。どっかに…忘れちゃったのかな~~。」

奈津美、
「え~~~っ!!!ちょっと、ちょっと、良く探してみて~~。あれ作るのだって、一週間以上は掛かってるんだから~~。そんな、ちょっとやそっとでは…。」

伸永、
「そう…なんですよ。…そう…なんですけど…。それが…、見当たらなくって…。」

スマホの向こうから奈津美の声、
「明日、確か…10時だったよね、デランナさん。…ん~~。もぅ~~どうすんの~~。」
頭を掻きながら奈津美。

そしてこちらも頭を掻きながらの伸永、
「参った~、参った~、参った~~。」

今までおっとりとしていたはずの伸永の、初めての慌てぶり。

「どうしよ、どうしよ。明日、あれがないと絶対困る~~。なんで、どこでどうやって。忘れた…???いや…失くした…???いやいやいや。そんなはずない。思い出せ、思い出せ。」

スマホの向こうで、かなり焦っていそうに感じる伸永に奈津美、
「尾田君、尾田君。」

伸永、
「ねぇねぇ、どうしよ。どうしよ。七瀬さん。」

「尾田君、尾田君。」
「どこで忘れた。どこで忘れた。あ~~。思い出せない。」

「尾田君。」
「思い出せないんですよ、七瀬さん。どうしよ。」

奈津美、
「尾田っ。あ~~んもうぅ~~。こらっ、ノブ!!!」

その一言に伸永、
「あ…。はい。」

「とにかく、深呼吸~~。そんな…慌てたって、事、済むわけじゃないし~~。深呼吸。とにかく深呼吸。はい。」
「あっ。あっ。は、はい。深呼吸、深呼吸。」

奈津美、
「尾田ちゃん、あんた、頭良いんだから、焦ったり、慌てたりすると、それだけ余計に収拾付かなくなるよ~~。」

そんな声に伸永、
「あ…、はい。」

「一昨日まではちゃんと持ってたんだから。私だって確認してるんだから…。その後…、どうなったか…。ゆっくりと、思い出して。」

デランナの企画書とは。
加瀬優里亜アイディアの新商品がほぼ目途が付いてきた時に、
瀧澤から伸永に初めて振られた新規企画である。
しかも、そのフォローを再び奈都美が担当する事になったのだった。
「しょうがない。乗りかかった船。やるっきゃないでしょ。」

スマホの向こうが静かになった。奈都美、
「…ん…???あれ…???尾田君…???」
スマホの向こう、音がしない。
「もしもし…。もしも~~し。お~~い。」

すると自然に聞こえてくる静かなメロディ。

奈都美、
「…ん…???なんだ…。綺麗な曲~~。…って、尾田君。尾田ちゃん。こら、ノブっ!!!」

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋