ドキドキ 目に何かゴミが入ったような、目を開けられず奈都美、
「ごめんなさい。」

「てめぇ~~。」
ドスの効いたような声。
その後にバシン。

まだ目を開けられない奈都美。
「何…???」

そしてその瞬間、バン。

目を瞑りながら奈都美、
「何が…???」

パタパタと靴音。

男の声、
「おぃおぃ。」

そしてまた別の男の声、
「痛って~~。なんてヤツだ…。けっ。覚えてろよ。」

ようやく目を開けられるようになった奈都美。
「目に…ゴミが…。」
そしてよろけた体をようやく戻しながら、
「ふぅ~~。なんて風。それに…誰かにぶつかった…。」
そして伸永の顔を…、
「へっ…???」

そして、歩道を歩くふたりの男性。ひとりの男性がもうひとりの男性に半ば、左腕を肩に。
右脇腹を右手で押さえながら…。

奈都美、
「な…に…が…???」
そして、
「尾田君、大丈夫~~???その顔~~???」

左口角に赤いシミ。そして少しだけ、血を垂らして。

伸永、首を傾げて、
「いきなり…殴り掛かってきて…。」

その声に奈都美、
「へっ…???」

伸永、
「なんか…、お酒…臭かった。」

奈都美、
「いやいやいや。それより、その顔…。」
そして、
「…も…、そう…だけど…、あの…ふたり…???」

すぐさま奈都美、タクシーを。

そして近くのドラッグストアの前で降りて。

店の前のベンチで伸永、奈都美に傷口の手当てを…。
「痛…そぅ…。」

伸永、右目を瞑って。
「あた…。沁み…。」

奈都美、
「…る、よね~~。…でも、何が…どうなって…???」

唇を尖らせて伸永、
「日陰に入った途端に、突風、吹いたじゃないですか…。」

「うんうん。うんうんうん。」
「あの風に、七瀬さん右に大きく体、よろめかせたんです。」

「うんうん。なんか…、目にゴミが…。」
「その時、右から歩いてきた男性の肩にど~~んとぶつかって。」

奈都美、
「ふん。」
思い出すように。
「どこに目を付けてるんだとかなんとか…。」

「ふん。」
「そしたら、今度は僕を睨みつけて。」

「はい…???」

「…で…、こうなったと…。」
左口角を指差して。

既に消毒して、ガーゼ、カットバンで…。

奈都美、
「ふん。それは…分かるんだけど…。…けど、なんで、あの…ふたり…???ひとり…男性の肩に捕まって…。右脇腹…、右手で押さえてた…。…その、その前に、覚えてろよ。…って声が、男の声で…。……尾田…くん…???」

「あっ。いや…。」
いきなり伸永、両手の平を顔の前で、左右に。
「いやいやいや。」

奈都美、伸永に、
「こ~~ら~~。」

「なんでも、ないですって。はい。」

奈都美、
「尾田ちゃん!!!ノブッ!!!」

伸永、その、「ノブ。」の声に、
「あ…。はははは。姉ちゃんに呼ばれてる…みたい…。」

奈都美、いきなり、自分の口から飛び出た言葉に、
「へっ…。あっ。はっ。…いやいやいや。何言ってるのよ。別に、私…。」
そして、何かしら、そんなところでも伸永から匂う、いい匂い。
「ふん。」
ベンチに自分も腰掛けて。
「まさか…。尾田君が、あの男性を…???」

「僕も…良く分からないんですけど…。思いっきり殴られて…。」
「うんうん。」

「転びそうになって…。」
「うん。」

「その時、体を…。」
「体を…???」

「変に捩じったかな…。左足が…。」
「左…足…が…???」

伸永、
「あ…は…。ははははは…。どうにか…なっちゃったみたいです。ははは…。」
とぼけたように伸永。

奈都美、右目を歪めて、
「どうにか…なっちゃったみたいです…。」

伸永、
「あ…は…。はははは。」

奈都美、いきなりガンと。
「どうにかなっちゃったで、あんなになるか~~。」

「七瀬…さん…。」

「もしかして…、ノブ君って……。強い…???」
そしてまた、自分の口から…、
「あっ。」

伸永、
「いやいやいやいや。」
奈都美の前で懸命に両手を振る。

奈都美、口を尖らせて、
「な~~~訳、ないよね~~。」
頭の中で、
「…全~然っ、想像つかない。」
そして、
「でも…さぁ~~。」

伸永、
「はい。」

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋