ドキドキ そんな内海の声に、多少なりともピクリとする翔、
唇を尖らせて奈都美の方を見る。

奈都美、書類を見ながら、
「加瀬…さんの~~。」

「それでな、それを七瀬、おまえ、尾田と一緒に、担当してくれ。」
内海。

奈都美、その内海の声に、
「はい…???」
いきなり般若のような顔をして奈都美、
「い…あ…、あの…。は…あ…???」

内海が続ける、
「実はな。おまえが鹿児島に行って、2、3日後に、何件か、新しいのが入ってきてな、それをみんなに振り分けて、一件落着。…と思ったらその後、またまた新しいのが入ってきた。お馨(きょう)さんからな。…しかも…、それ…、お馨さんから、七瀬、お前ご指名だ。」

お馨さんとは、部長の瀧澤馨子の事である。

その声に奈都美、
「え~~~。あっちゃ~~。」
そして小声で、
「しかも…、オタクの…新人と…。」
くしゃりとしながら…。

「まっ、後輩を…育ててくれと言う意味でも、頼む。」

奈都美、
「え~~~~っ!!!」
膨れっ面をしながら…。何気なく向かいの席の方を向いて、
「お…だ…、くん…と…。」
そしてその隣を見て…。

両手を合わせて、「スマン」のゼスチャーの翔。

奈都美、
「んもぅ~~~。」

康、奈都美の傍で、
「んじゃ、頼む。」

奈都美、不貞腐れた顔して、
「ふぁ~~い。」

グラスで酎ハイを飲みながら、
「もぅ~~。なんなのよぉ~。新人教育って~~。帰ってきて、早々~~。」
まだ不貞腐れが収まっていない奈都美。
左隣に体を向いて、右肩をペンと叩いて、
「ねぇ!!!」

「痛って!!!…って…。」
右目を瞑りながらの翔。

「かかかか。そりゃ、帰って早々、散々な目に遭ったな、都(みやこ)。」
都と、奈都美の事を言う男性。

奈都美、
「ほんとだよ。もぅ~~。剛(ごう)ちゃん、お代わり。」

「はいはい。…って、いいのか~~都~~。帰んなくって~~、奈留(なる)ちゃんから、怒られても、知らないよ~~。」

その声に奈都美、
「これが飲まずにいられますっかって~~の。」

その剣幕に剛輔(ごうすけ)、
「お~~こわっ。」

奈都美の隣の翔、
「やれやれ。」

ここで言う剛ちゃんこと、八神剛輔(やがみごうすけ)、七瀬家が関わっているパブである。
奈都美の母親、七瀬奈留美(ななせなつみ)の、こちらも、幼馴染である。

奈都美がまだ新生児の頃、
「奈留美に奈都美。なるになつって言うのも、つまんねぇよな。」

と、言い、奈留美から、
「何バカな事、言ってんのよ、変な呼び方…しないでよね。剛ちゃん、いっつも可笑しな事考えてんだから…。」

そんな声には全く耳を貸さずに剛輔、本気で悩んで…。

「駄目だ、こりゃ、とんでもない呼び方する~。」
奈留美。

隣で、奈留美の夫、広武(ひろむ)が、
「くくくく。」

奈留美、
「ヒロくん。パパ。冗談じゃないわよ。」

そんな心配顔の奈留美を可笑しそうに見ながらも、広武、
「さて…???」

剛輔、
「おし。決まり、奈都美の…真ん中を取って、都(みやこ)。うん。」

その瞬間、奈留美、
「は~あ~~~???」

広武、
「かかかか、出た、とんでもない呼び方。」
手を叩いて…。

奈留美、
「もぅ~~。勘弁してよ~~。」

…とは言え、剛輔がいなかったら、奈留美と広武の今は…ない。
そして、剛輔の、奈都美の事を呼ぶときの、「都」が…、何故か今でも、承認されている。
しかも、不思議に、奈都美自身も既に、その呼び方に慣れているという。

ある時、奈留美、
「仕方ないじゃない、真面目な顔して、奈都美の事、みやこって…言うんだもん。ふん。」

広武も、
「まっ、いっか~~。」

奈都美、2歳の時、
「私って…なつみなの…???みやこなの…???」

奈留美、そんな奈都美に向かって、両脇に両手を当てて、
「奈都美ですっ!!!な~つ~みっ!!!」

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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。

※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。

 

 

 

 

 

Source: THMIS mama “お洒落の小部屋