ドキドキ そんな龍興を隣で、
「お父さん…。」
紅葉。
「いえね。この人。とにかく末の娘だけは…、自分のホテルに迎えたいって、大学時代から…。姉のふたりは…。」
蘭を見ながら、
「この通り、自由奔放に、自分の好き放題、やりたい事をやってますから…。」

黙って聞いている雅樂。

「親の言うとおりに、やっていりゃあ、それでいいんだ。」
龍興。
「ほらみろ。聞けば、4年も付き合ったヤツと、別れたというじゃないか。」

絃、頭の中で、
「…あっ、ユウマだ…。ぷふ。」

蘭、
「何言ってんのよ。1度や2度の失恋が何よ。そりゃ、お父さんとお母さんは、見合いで一発だったかも…知れないけど…。…私なんて、4度目です。霞は3回。それに比べれば、ゆずなんて…。…凄いよ。…良い人と、巡り合えた。」

絃、頭の中で、
「…正確には…、再会…なんだ…けど…。」
笑いを堪えるように…。

雅樂、済まなそうに、
「あの~~。あっしが…こんな事…、言える筋合いじゃ~ねぇ事、分かっておりやす。ですが…、娘さん…。いや…、ゆずちゃん。どうか…長い目で、見てやっちゃあ~くれませんか。」

その声に龍興、
「えっ…???」

「いやね…。ゆずちゃんも…そうなんだが…、ここにくる客の中に、ゆずちゃんと同様に、常連の客…、女の子たち3人おりやす。とにかく、この女の子たちが、贔屓にしてくれているせいで、この店ぁ、もう、お客さんに喜ばれて喜ばれて。それに、みんな、良い顔、してくれてんです。」
雅樂、ひと呼吸置いて、
「そんなお客さんたちの心って言うのか…、裏切らねえで…欲しいんですわ。」

その声を聞いて龍興、
「あっ。」

「いやね。もぅ~~。彼女たち、お客さんに名前まで憶えられて。…あっしは…、つくづく、この店作って、良かった…って、思っておりやす。…かかかか。御蔭で、店、盛り上げて頂いてますわ。それに、ウチに住んでるふたりも…、仕事終わったら、疲れているはずなのに、店、手伝ってくれてる。」

 

口を尖らせて龍興。

 

「しかも…、その手伝ってくれてる姿に、お客さん、また嬉しいんでさぁ~~。」

その話を聞きながら絃、にっこりと、何度も頷いて。

そして蘭、
「もしか…して…、お父さん…。ホテルの事ばっかりで…、お客様の事…考えて…いないとか…。」
そして、
「もしそうだったら、何がホテルの常務取締役総支配人よ!!!!」
いきなりテーブルをバン!!!そして立ち上がり…。

雅樂、いきなり仰け反る。

絃、頭の中で、
「…恐っ!!!」

紅葉、可笑しがって、鼻の下に指を。
「ぷふ。」

そんな妻の顔を見て龍興、
「ふん…。」

「だ~~から、言わんこっちゃない。お父さん、あなたの負け。いい加減…諦めなさいな。…くく…。」
そして店主と店員を見て、
「いえね、この人。ホテルの専務取締役と張り合ってるんですよ。昔っから。」

雅樂、絃、
「は…ぁ…。」

紅葉、
「実は、そのホテルの専務取締役にも、娘さんが3人いらっしゃって。真ん中の娘さんが、一昨年、ホテルに入社したばかり。それに負けまいと、ゆずを一生懸命、ホテルに入れたくってぇ~~。」

蘭、
「娘を自分の仕事に使うな!!!」

雅樂、絃、
「あっ、あ~~。はぁ~~。」

紅葉、
「ゆずが、しっかりと…みなさんに、愛されてる。可愛がられている。私ももぅ~~。それで充分。あんなに目立たなくって、友達もいない、そんな子だったのに…。」

その声に蘭、
「母さん。」

雅樂、
「大丈夫でさぁ~~。けけけけ。」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

《PR》
庄司紗千 海をこえて

※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Source: THMIS mama “お洒落の小部屋