ドキドキ 少し畏まった感じで翠。
新聞を見ながらの雅樂。

翠、
「雅樂じぃ…。あのさ…。実は…。」
薫郎の顔を見て、
「わ…私たち…。ユッキと私。」

雅樂、
「…なんでぃ…。」

翠、小さな声で、
「あの…さ…。私たち…ふたり…。」

「おめぇら、お互い、好きな人…出来たってか。」
ぶっきらぼうに…。

「う…、うん。」

「なんだって。みどには…あの、遊馬って人。ユッキには…あの、ゆずちゃんって子…???怒んないで、聞いてあげてよね。」
最後は声高に。

翠、薫郎、
「えっ…???」

「絃に言われた~な。昨日の絃…帰りの時に…。」

翠、薫郎、お互いに顔を見合わせて、
「絃…???」
「しっかりと聞いてたんだよ。俺が、めでてぇ。めでてぇって言ってたのをな。あいつ。絃。」

翠、
「へっ…???」

薫郎、
「あ~~~。そういえば、焼き鳥…焼きながら、なんだか…。洗い物してて、水の音で、聞こえなかった。」

「絃が、みどもユッキも…私には、大切な人だから、絶対に怒んないでって…。」

翠、薫郎、
「絃…。」

「そりゃ~な。俺だって…、その…、おめぇらが、いつまで経っても、全く変わんねぇの…、ある意味じゃ、呆れてんだ。とっとと、身ぃ固めちまぇ。って、どんだけ思ったか。…けどよ。な~~んか…、ここ数カ月、様子が変だ、変だって…。」

翠、
「雅樂じぃ…。」

「へん。幾ら鈍感な俺でも、店に若い子がいりゃ、それなりに、自然に耳に入ってくるってもんよ。」

薫郎、
「雅樂じぃ。」

「まっ、それが、早かろうが、遅かろうが、俺にとっちゃあ~~。関係ねぇけどよ。そんな…。おめぇら、俺には自慢の…子供みてぇなもんだ。」

翠、
「雅樂…じぃ…。」

バリっと、新聞を捲って、
「でぇ~~。どうすんだぃ、これから…???…、みどは…、その…、遊馬って人と…。それからユッキは…???」

翠、
「あ…。う…うん…。…もしか…したら…。私…ここ…。」

その声に薫郎、
「みど…。あっ。あ~~。」

「だって…。ユッキ…、ゆずと…。」

雅樂、
「俺ぁ…、ゆずちゃん…好きだぜ。」

薫郎、
「えっ…???」

「絃とも、仲…いいみてぇだし。…それに、みど。」

翠、
「はい。」

「おめぇも…、ここ、出ていくこたぁねぇよ。」
「へっ…???いやいやいや。…でも…。それじゃ…。」

「遊馬って…人と、隣に住みゃあいいだろ。」

翠、右左見て、
「へっ…???隣…???隣って…、どこの隣よ…???」

「隣って…言えぁ~隣、ほれ。」

「と・な・り…って…???はい…???雄さん…家…???は…ぁ…???…意味分かんない。」
薫郎の顔を見て…。

薫郎も、右手を振って、
「いやいやいやいや。えっ…???俺にも…。チンプンカンプン。」

「雄ちゃんな…。家、引き払って、今…福島だ。」

その声に翠、薫郎、共に、
「え―――――――――っ!!!!」

「今や、お隣さんは、もぬけの殻。」

今度は翠に薫郎、
「うっそ――――――――っ!!!!」

大凡、1ヶ月ほど前…。雅樂の家に訪れた夫婦。

雅樂の家の隣の倉本雄浩(くらもとたけひろ)。そして妻の和江(かずえ)。
「ふん。雅樂じぃと、みどとユッキに会えなくなるって思うと…寂しくってね~~。それに絃とも。…とは言え、動けない父親、放っておくことも…。」

雅樂、
「だよな~~。大変だな、親父さん。」

福島に住んでいる和江の父親、榊平(さかきたいら)が、
妻の紘子(ひろこ)から先立たれてひとり身になってしまったのだ。

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋