ドキドキ 2階への階段を…途中からは…駆け足で。
そして部屋に戻って、クローゼットの中に仕舞っておいた中途半端の出来上がりのマフラーを引っ張り出して、ベッドに腰掛けて、また編み始める。

橙、
「お姉ちゃん、ありがと。」

そして遂に、あの日、もう会える事はない、杉浦薫郎に、
チョコレートが入った箱と、マフラーの入った紙袋、渡せたのであった。
その後、杉浦薫郎が、どうなったのかというのは、全くわからないまま。

つまりは橙の完璧なままの片思い。

月曜日の朝。
コーヒーカップを持ちながら薫郎、営業の自分の席へと向かう途中…。

橙、
「あっ、おはようございま~~す。」

薫郎、
「お~~っとっとっと。はは、おはよう~~。ゆず、早~~。まだ誰も来てないのに。」
そして、
「しっかし…、それにしても、ゆず、歌…上手いよね~~。凄いよ。初めて聞いた、ゆずの歌。」

「いえいえ。とんでもない、私なんて。」
橙。

「もしかして…、ウチの5本指に入るかも…。かかかか。頑張れよ、仕事。」
「はい。ありがとうございます。」

「いやいや。そんな丁寧な言葉、いいよ。」
「いえ、いえ、杉浦さん。私の大先輩ですから…。ふふ。」

その橙の笑顔に、一瞬薫郎、
「ドキン。」
その時、いきなり頭の中に何かしら過った、記憶。
薫郎、
「あ~~れ~~???」
顔を顰めて。

橙、そんな薫郎を見て、目をパチクリと、
「…???」

薫郎、
「あ、いや…。あ~~れ~~???」
そういいながら、自分の席に歩き出す。

橙、
「ふふ。」

「あ~~っと、ゆず~~。」
振り向いて薫郎。

こちらも振り向いて橙、
「あっ。はい。」

「ロンドの例のヤツ。JC365PK…。今日から分納だよね~~。」
「はい。工場から、今日から、分納になります。」

「頼むよ~~。向こうさん、何やら、期待してるみたいだから。ヤマチも鼻、高々。かかかか。」

橙、
「はい。ねね、杉浦さん。」

薫郎、
「ん~~???」

「山根マネージャーも、矢萩リーダーも、かっこいいですよね~~。それに、凄い綺麗~~。」

薫郎、
「はは。ま~~ね~~。ボスとヤマチ、そしてコバちゃんいれば、会社ひとつ、出来ちゃうって言われてるからね~~。」

「ふ~~ん。そうなんだ~~。」

「それにしても…ゆずだって、凄いじゃん、東大って。」
コーヒーを飲みながら薫郎。

橙、そんな薫郎に、手を振って、
「いやいや。そんな事…ありませんよ。」

「ま~た、またまたまた~~。結構…凄い戦力って、噂だけど~~。」

橙、
「ありがとうございま~~す。お世辞でも、嬉しいです。」

「お世辞じゃないよ。」

ドアを開けてスタッフたちの出社である。
「おはよ~~。」

橙、
「おはよ~ございま~す。」

スタッフ、
「ゆずちゃん、早っ。もう仕事、してんの~~???」
「いえいえ。今来たばかりです。はい。」
「先日は、どうも~~。ゆずちゃん、歌、上手い~~。」

そんなスタッフの声に、薫郎、にっこりと、
「ほ~~ら、や~~ぱり。」
そして、スタッフに、
「でしょ、でしょ。僕も今、ゆずちゃんに、そう言ってたんだ。」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

《PR》
庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。

※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。

 

 

 

Source: THMIS mama “お洒落の小部屋